河北新報のコラム、河北春秋(2008年07月24日)より。
「高速道路の緊急電話を使ったことがありますか」。埼玉県で勤務医をしている本田宏さんは講演のたびに聴衆に質問する。今まで「ある」と答えた人はたった1人▼本田さんによれば、あの電話は1キロごとに設置してあり、旧日本道路公団は何と一台250万円で設置したそうだ。ため息が出ると本田さんが書いている。なぜって、2人の胃がん患者を手術して…
▼そうして、検査や治療を続け、1カ月入院してもらって、やっと病院には240万円が入る。電話1台に負ける。しかも、一人前にがんの手術ができるまで、医師は養成に10年近くを要する▼国の財政を圧迫しているのは、あたかも医療であるような言い方を国がしているが、決して医療費が原因ではない。経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中で日本の医療費は最低ランクにある
▼このほど、本田さんらが呼び掛け人になって、全国の病院の医師と医学生を対象に署名活動を始めた。やっと医学部定員を増員する方針を国が決めたが、社会保障費の削減方針は生きたままだからだ▼「勤務医が働き続けられる施策を」「そのために必要な予算措置を」。要請文の中身は全く当然の要求だ。患者としても、応援したい署名活動だ。医療にもっとお金を、地域医療を支える勤務医の待遇改善を。
2008年07月24日木曜日
一地方紙のコラムにすぎないが、本田宏先生らの活動が好意的に紹介されている。少しずつ、医師不足・医療崩壊の現実がマスコミにも理解されてきている。
医療崩壊阻止! 医師・医学生署名をすすめる会 のホームページより、署名活動に関するアピールをご紹介する。
アピール
加速せよ!医師増員、止めよう!医療崩壊
「地域医療の再生を求める医師・医学生の請願署名」にご参加ください
国が医療費抑制策を続け、このまま医師の絶対的不足を放置するならば医療崩壊は止まらない。私たちは、現場の医師がこの危機を訴えつづけることが社会的責任と考えて行動してきました。ここ2、3年、医療崩壊に関する報道もふえ、世論も「このままでは大変なことになる」という認識に変わりました。
ついに2008年6月16日、「医師養成数増へ方針転換 97年閣議決定見直しへ」と、医療の現場が待ちに待ったニュースが速報されました。そして6月27日に閣議決定された「骨太方針2008」には「早急に過去最大程度まで増員するとともに、さらに今後の必要な医師養成について検討する」ことが盛り込まれました。遅きに失したとはいえ、やっと医師増員の光が見えてきたのです。しかし、まだ決して楽観できない状況です。医師増員分は別枠との考え方を示しつつも、5年間で社会保障関係費を1兆1千億円削減する方針は『引き続・・・最大限の削減を行う』とされ、公的医療費、社会保障費の増額につながる政策転換には至っていません。今こそ日本の医師と医学生が大同団結し、医師増員と医療再生に必要な財政措置をとるよう、国会請願署名を実施して断固たる意思表示をすべきと決意しました。
医療再生のために医師・医学生が一致して行動し始めたというメッセージこそ、医療崩壊に不安をもつ多くの国民を励まし、安心して住み続けられる日本への希望をつなぐものと信じます。医療再生をめざす超党派の国会議員連盟も発足しています。どうかこのような趣旨をご理解いただき、私たちが進める医師・医学生を対象とした署名へのご協力をよろしくお願いいたします。また、署名をしていただくと同時に、趣旨に積極的に賛同していただき、私たちとともに署名の呼びかけ人となっていただけますようお願いいたします。一人でも多くの署名を結集して、来年度の予算措置につなげ、医療崩壊を阻止しましょう。
2008年7月1日
「医療崩壊阻止! 医師・医学生署名をすすめる会」
代表呼びかけ人
埼玉県済生会栗橋病院副院長・医療制度研究会副理事長
本田 宏日本福祉大学教授
近藤 克則佐久総合病院院長
夏川 周介全国自治体病院協議会会長・全国公立病院連盟会長
邉見 公雄