政府の主張丸写しの朝日「政策ウォッチ」

 朝日新聞「政策ウォッチ」(2008年5月3日)より、全文を引用する。

高齢者の医療費 抑制と負担の議論 先送りするな


 「現代版うば捨て山」「国の裏切り」。後期高齢者医療制度への批判が渦巻いている。確かに保険料天引きの際の誤りなど、手際の悪さは目立った。負担が増えたお年寄りもいる。ただ、制度の趣旨そのものは評価されるべきだ。
 保険料の5割は税金を使い、4割を現役世代が支援、1割を高齢者自身が担う。これまでの老人保健制度と異なり、独立した会計にしたのがポイントだ。
 高齢者の医療費は増え続け、それを支える現役世代には人口減が待ち構える。受益と負担の関係を見えやすくすれば、医療費をどう抑え、だれがまかなうのかという議論に、より真剣に取り組まざるを得なくなる。
 低所得者への配慮は必要だ。しかしそれは生活保護などセーフティーネットの観点から議論すべきで、医療保険の枠組みで解決しようとすると論点がかすむ。
 膨らむ保険料はだれかが払わなければならない。負担増を感情論で退けて問題を先送りすれば、将来の負担は膨らみ続け、現役世代の老後は今のお年寄りずっと悲惨なものとなる。
(山川一基)


 高齢者と現役世代の対立をあおることが本記事の趣旨である。税金の使途や事業主保険料負担について全く触れようとしない。
 新聞の論調は、玉石混交である。現場の取材を丁寧に行い、客観的なルポルタージュを行っている記者もいる。しかし、本記事のような政府の主張丸写しを平気で書いている限り、メディアとしての信頼性は下がる一方だろう。