医療費が上がると保険料があがるという「制度の理念」

 毎日新聞後期高齢者医療制度:9都道府県が補助金 厚労省懸念「制度ゆがむ」、より。

後期高齢者医療制度:9都道府県が補助金 厚労省懸念「制度ゆがむ」


 4月に始まった後期高齢者(長寿)医療制度で、全国9都道府県が税から補助金を投入したことが22日、毎日新聞の調べで分かった。加入者である75歳以上の負担を軽減するのが狙いだ。地域ごとの医療費と保険料水準を連動させ、老人医療費が下がれば保険料も下がるのが新制度の根幹だが、公費を投入して保険料を引き下げる都道府県もあり、厚生労働省は「制度の理念がゆがむ」と懸念している。【まとめ・佐藤丈一】


 新制度は、都道府県単位の全市町村で構成する広域連合が運営。保険料は広域連合ごとに設定され、同じ都道府県で収入が同じなら、原則として同額の保険料を支払う仕組みだ。全国平均の保険料は年7万2000円。


 毎日新聞の集計によると、補助金を投入しているのは北海道、東京、石川、福井、岐阜、三重、京都、奈良、岡山の9都道府県。東京都は年収208万円以下の約9万人の保険料を、所得額などに応じ独自に25?100%減額。これにより、6万1700円になるはずだった平均的な厚生年金(約201万円)を受給する人の保険料は、全国最低の5万3800円になった。費用約7億円は、各市区町村が負担する。


 石川県は健診事業の補助金名目で、当初予算から6500万円を拠出。全19市町も1億1500万円を補助した。保険料は1人当たり約1200円下がり7万1293円となった。京都府も7865万円を拠出し、1人当たり230円程度の引き下げ効果を生んだ。


 一方、全国で一番高い保険料(8万5100円)となった福岡県の麻生渡知事は今月15日、「財政支援より老人医療費を減らす方策を考えなければ、効果的な政策にならない」と、負担軽減策を否定した。今後、地域格差が拡大する可能性もある。


 新制度は、15日に年金からの保険料天引きが始まって1週間が過ぎたが、保険証は3万件以上が未着のまま。自治体には苦情や問い合わせが続いている。過大・過小請求を含めた誤徴収は、少なくとも94市町村で3万5700人、総額2億1800万円に達する。


毎日新聞 2008年4月23日 東京朝刊


 以前、給付と負担の連動を狙った制度で同様の話題をとりあげた。この時は、8都道府県だったが、岡山県が加わった。


 全国で一番高い保険料を払う福岡県の高齢者と医療機関はお気の毒である。財政支援を行わないだけでなく、知事が先頭に立って「老人医療費を減らす方策を考える」と宣言している。