野茂英雄復活!

 野茂英雄が、1,000日ぶりにメジャーに登板した。中日スポーツ野茂、1000日ぶりメジャー登板 帰ってきたサムライ「うれしかった」の中に、NYポスト記者のコメントがある。

野茂、1000日ぶりメジャー登板 帰ってきたサムライ「うれしかった」
2008年4月12日 紙面から


 【カンザスシティー=ジョージ・キング】野茂、1000日ぶりメジャー登板!! ロイヤルズの野茂英雄投手(39)が10日、当地でのヤンキース戦で、デビルレイズ(現レイズ)時代の2005年7月15日以来、約3年ぶりにメジャーのマウンドに上がった。1−4の7回から登板し、松井秀喜外野手(33)との2度の対決は左飛と空振り三振。9回2死からソロ2発を浴びて3イニングを4安打2失点、奪三振は1。野茂は「うれしかった」と復活の喜びをかみしめた。
 “HIDEO NOMO”−。1000日ぶりに聞く、メジャーの場内アナウンス。ロイヤルブルーの背番号91が、右翼ブルペンから小走りにマウンドへ向かう。「特別な気持ちの高ぶりはなく、普通にマウンドに上がれた。早く投げたかったのでうれしかった」。野茂がメジャーの舞台に戻ってきた。
 7回2死満塁。6人目の打者を迎えると、現地のアナウンサーが「舞台は整った」と絶叫した。打席には松井秀喜。05年6月21日以来の対決は、5球勝負。カウント2−2から外角へフォークで力のない左飛に打ち取ると、本拠地の観衆が総立ちでポーカーフェースの右腕に拍手を送った。
 9回、2度目の対決では内角に再びフォークを投げ込み、空振り三振。3イニングを投げきったとき、ひとつ大きく息をついた。「特別な意識はなかった。良いバッターは良いバッターなので。その前も後も、良いバッターがいる」。淡々とした口調で振り返ったプロ19年生。39歳になっても、変わらぬ野茂英雄がそこにいた。
 メジャー3度目の中継ぎ登板だった。打者に背中を向ける往年の“トルネード”は封印した。直球の最速も、全盛期より15キロも下回る約140キロ。その分は、経験でカバーした。右足付け根痛による3月25日以来の実戦とは思えない投球で、丁寧に低めをつき、アウトを積み重ねた。
 悔やまれるのは、9回2死からA・ロドリゲスとポサダに連続アーチを許したこと。「できれば、やっぱりゼロに抑えて最終回を迎えたかったというのが本音。手応え? 自分でもどこまでやれるか分からないし、使う方もまだ分からないだろう。投げるチャンスが来れば抑えて、それから」。復活の65球。野茂がその勇姿を、ファンの目に焼き付けた。 (NYポスト紙記者)


 米記者にとっても、野茂英雄は特別の存在なのだろう。ストライキで人気が急落していたメジャーリーグの救世主、イチローほか野茂に続く日本人選手がMLBに与えたインパクト、そして、何よりも、2回のノーヒットノーランを初めとした輝かしい実績。ヒルマン監督は、わざわざ1,000日ぶりという切りが良い日に、復活登板を演出してくれた。


 もちろん、過去の栄光だけでは、メジャーリーグでは生き残れない。慣れない救援、封印したトルネード、年齢的な衰え、オープン戦で負傷した大腿部など不安材料は山のようにある。しかし、今日だけは素直に喜びたい。少しでも長くその勇姿を多くのファンに見せ続けて欲しい。