回復期リハビリテーション病棟入院料Iの施設基準

 厚生労働省より、平成20年度診療報酬改定に係る通知等についてという資料が提示された。回復期リハビリテーション病棟入院基本料に関係する部分を紹介する。
 なお、診療報酬の概要については、中医協答申−回復期リハビリテーション病棟に対する質の評価の導入で詳しく取りあげたため、今回は算定要件に関する部分についてのみ記載する。


 基本診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発第03005002号)の本文PDFファイルページ52−53ページに回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準がある。

 重症患者の評価に関わる日常生活機能評価については、次のように記載されている。

 当該病棟への入院時等に測定する日常生活機能評価は、別添6の別紙22を用いて測定すること。また、当該日常生活機能評価表の記入は、院内研修を受けたものが行うものであること。なお、院内研修は、次に掲げる所定の研修を終了したもの(修了証が交付されているもの)若しくは評価に習熟したものが行う研修であることが望ましい。
ア 国及び医療関係団体等が主催する研修であること(1日程度)
イ 講義及び演習により、次の項目を行う研修であること
(イ) 日常生活機能評価の考え方、日常生活機能評価表の構成と評価方法
(ロ) 日常生活機能評価に係る院内研修の企画・実施・評価方法

* 別添6の別紙22

 中医協審議当時使用されていた日常生活機能「指標」という言葉から、日常生活機能「評価」と名称が変更されている。両者を比較してみると、総点20点から19点となっている。「移動」の部分が3段階評価から2段階評価となっているが、理由についての記載はない。

 毎年7月において、1年間(前年7月から6月までの間。)に当該入院料を算定する病棟に入院していた患者の日常生活機能評価について、別添7の様式49の4により地方社会保険事務局長に報告を行うこと。ただし、平成20年7月の報告は要しないこと。

* 別添7の様式49の4


 回復期リハビリテーション病棟入院料Iの施設基準に関して、次の記載がある。

(1) 当該病棟が回復期リハビリテーション病棟入院料Iを算定する場合、重症の患者(別添6の別紙21に定める日常生活機能評価で10点以上の患者をいう。以下この項において同じ。)が新規入院患者のうち1割5分以上であること。なお、その割合は、次のアに掲げる数をイに掲げる数で除して算出するものであること。
ア 直近6ヶ月間に当該回復期リハビリテーション病棟に新たに入院した患者(第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の患者を除く。)のうちの重症の患者数
イ 直近6ヶ月間に当該回復期リハビリテーション病棟に新たに入院した患者数(第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の患者を除く。)


(2) 他の保険医療機関へ転院した者等とは、同一の保険医療機関の当該入院料に係る病棟以外へ転棟した患者、他の保健医療機関へ転院した患者及び介護老人保健施設に入所する患者のことをいう。なお、退院患者のうち他の医療機関へ転院した者等を除く者の割合は、次のアに掲げる数をイに掲げる数で除して算出するものであること。
ア 直近6ヶ月間に退院した患者数(第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の患者を除く。)のうち、他の保険医療機関へ転院した者等を除く患者数
イ 直近6ヶ月間に退院した患者数(第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の患者を除き、他の保険医療機関へ転院した者等を含む。)。ただし病状の急性増悪等により、他の保険医療機関(当該保険医療機関と特別な関係にあるものを除く)での治療が必要になり転院した患者及び死亡退院した患者を除く。なお、当該患者の数及び各患者の病状詳記の一覧を、届出の際に別途添付の上提出すること。)*1


* 別添7の様式49の2


 「在宅」とは、「診療報酬算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」中の区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(2)ア及びイに掲げる施設等と同様である。「医師が常駐していない施設」のことを指し示している。

区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(2)
ア 自宅、社会福祉施設又は障害者施設等で療養を行う患者
イ 次に掲げる患者(以下「居住系施設入居者等である患者」という。)
(イ) 次に掲げるいずれかの施設に入居又は入所している患者
[1] 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム([5]に規定する特定施設を除く。)
[2] 老人福祉法第20条の6に規定する軽費老人ホーム([5]に規定する特定施設を除く。)
[3] 老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム([5]に規定する特定施設を除く。)
[4] 老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム
[5] 特定施設(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第11項に規定する特定施設及び第19項に規定する地域密着型特定施設のことをいい、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第192条の2に規定する外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護を受けている患者が入居する施設を含む。)
[6] 高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則(平成13年国土交通省令第115号)第3条第6号に規定する高齢者専用賃貸住宅([5]に規定する特定施設を除く。)
(ロ) 次に掲げるいずれかのサービスを受けている患者
[1] 介護保険法第8条第9項に規定する短期入所生活介護
[2] 介護保険法第8条第17項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)
[3] 介護保険法第8条第18項に規定する認知症対応型共同生活介護
[4] 介護保険法第8条の2第9項に規定する介護予防短期入所生活介護
[5] 介護保険法第8条の2第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)第44条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)
[6] 介護保険法第8条第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護
 ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成18年3月31日保医発第0331002号)等(以下「給付調整告示等」という。)に規定する場合を除き、医師の配置が義務づけられている施設に入所している患者については算定の対象としない。


 重症患者回復病棟加算の施設基準に関して、次の記載がある。

 重症患者のうち3割以上の者が退院時に日常生活機能評価で3点以上改善していること。なお、その割合は、次の(1)に掲げる数を(2)に掲げる数で除して算出するものであること。
(1)直近6ヶ月間に退院した重症の患者(第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の患者を除く。)であって、入院時と比較し日常生活機能評価が3点以上改善した患者数
(2)直近6ヶ月間に当該病棟に入院していた重症の患者数


* 別添7の様式49の3


 在宅復帰率など回復期リハビリテーション病棟入院料算定要件の詳細が明らかになった。全身状態不安定のため転棟・転院した場合は、在宅復帰率を引き下げる。老健入所も同様である。一方、特養、グループホーム、ケアハウスなどは自宅扱いのため、在宅復帰率を向上させる。
 回復期リハビリテーション病棟入院料Iをとるために、在宅復帰率を上げるための工夫があちこちで始まる。間違いなく、重症患者で全身状態不安定な者は敬遠される。日常生活機能評価改善が期待できない患者も回復期リハビリテーション病棟に転院できない。退院先からの老健はずしも顕在化する。
 リハビリテーション医療の歪みが顕著となることが明らかになった。今日一日、陰鬱な気分で過ごしている。