激震3−診療報酬改定、疾患別リハビリテーション料の導入と算定日数上限設定(2006年)

 2006年度診療報酬改定は、リハビリテーション関係者にとって衝撃的なものだった。主な内容を列記する。

# 疾患別リハビリテーション料の導入と算定日数上限設定
* これまでの体系を見直し、新たに疾患特性を加味した下記の4体系とする。
 脳血管疾患リハビリテーション
 運動器リハビリテーション
 呼吸器リハビリテーション
 心大血管リハビリテーション

* 「長期間における効果が明確でないリハビリテーション」の指摘から、疾患毎に算定日数上限を設定する。

心大血管 脳血管疾患等 運動器 呼吸器
リハビリテーション料(I)  250点  250点  180点  180点
リハビリテーション料(II)  100点  100点  80点  80点
標準的リハビリテーション実施日数  150日  180日  150日  90日


 脳血管疾患リハビリテーション料と運動器リハビリテーション料の施設基準を示す。

 疾患別リハビリテーション料の導入に伴い、総合リハ施設基準が廃止された。機能訓練室の面積要件が緩和された。人員基準も変更され、運動器リハビリテーション料では、代替者の導入も大幅に緩和された。一方、理学療法作業療法、言語聴覚療法の区別がなくなり、各療法が独自算定できなくなった。
 その他、早期リハビリテーション加算の廃止、集団療法の廃止、発症後早期の患者の算定単位数上限緩和、従事者1日単位上限の緩和が実施された。障害児・者のリハ料の新設、摂食機能療法の算定日数の拡大、訪問リハの単位化も実施された。


 回復期リハ病棟に関しては、算定対象状態の拡大と発症からの日数の短縮・算定日数上限短縮が行われた。



 才藤栄一先生が雑誌「総合リハビリテーション」巻頭言で書いた「総合リハビリテーション」の行方に2006年度診療報酬改定時の状況が記載されている。一部を引用する。

 今回の改定過程についての筆者なりの総括は、リハ医療を取り囲む関係機関に「強い利益誘導意識」や「リハ医療に対する根本的理解不足」があり、それに抗することができず押し切られてしまった、というものである。そして、従来の報酬体系を根本的に変えてしまう無惨な結果となった。


 無惨な結果。この言葉がリハビリテーション関係者の思いを象徴する。これまで積み重ねてきたリハビリテーション医療の成果が瓦解した、そう思わせるような診療報酬改定だった。
 才藤栄一先生は、巻頭言の最後にこう記載している。

 今回の改定によって、リハ医療は、医療費抑制という量的側面だけでなく、質的な次元においても大きな疵を負った。また、その改定過程が示したのは、未だにリハ医療がほとんど理解されていないということであった。今、リハ医療関係者には、国民によりよいリハ医療を提供するために、今回の改定作業で強化されたリ ハ医療関係団体の結束をさらに強めつつ、その専門性を高めるため変わることを恐れずに先に進むこと、そして十分に説明することが求められている。診療報酬改定はこれが最後ではない。