NHKスペシャル「闘うリハビリ 第2回 早期リハビリ “常識”への挑戦」


 NHKスペシャル第2夜。本日は、「闘うリハビリ 第2回 早期リハビリ “常識”への挑戦」という題で、相澤病院原寛美先生たちの取り組みが紹介された。


 相澤病院は、脳障害に対する早期リハビリテーションを組織的に展開している。徹底したリスク管理をしながら、座位・立ち上がり訓練、嚥下訓練を実施している。病状が安定したら、長下肢装具を使用した歩行訓練を行っている。そのアクティブさは、日本有数である。


 重症患者が多いのにも関わらず、1ヶ月以内自宅退院率が6割というのは驚異的である。早期に移動能力を自立することが可能となっているからである。当然のことながら、歩ければリハビリテーションは終わりではない。放送でも紹介された訪問リハビリテーションの役割が大きい。家事動作や公共交通機関利用などの社会生活能力向上のためのリハビリテーションが生活の場で継続される。


 原寛美先生は高次脳機能障害の大家でもある。若年の脳血管障害者や頭部外傷者の復職を目指し、系統的なアプローチをしている。相澤病院のOTやSTの水準は極めて高い。著書「高次脳機能障害ポケットマニュアル」は、バイブルといえる存在である。

高次脳機能障害ポケットマニュアル

高次脳機能障害ポケットマニュアル


 脳卒中になっても充分な急性期リハビリテーションを受けられる状況には日本はまだなっていない。そもそも原寛美先生のようなアクティブなリハビリテーション専門医が非常に不足している。また、都市部の急性期病院では、面積基準や人員基準の問題があり、リハビリテーション医療はこれまでは高嶺の花だった。そこに、2006年のリハビリテーション診療報酬改定が追い打ちをかけている。2008年度診療報酬改定が急性期リハビリテーションにやや手厚くされるとのことだが、リハビリテーション診療報酬全体が削減されることを考えると、急性期病院が手を出すとは思えない。


 NHKスペシャルの放映は、リハビリテーション医療の重要性を知ってもらう上で追い風となった。高齢社会を迎え、リハビリテーション医療に対する期待は高まっている。問題は、リハビリテーション医療界がその望みに応えられるかどうか。もっとリハビリテーション医を増やしたいという思いをより強くした。