「まちの病院がなくなる?! 地域医療の崩壊と再生」

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生


 先ほど、ブログ記事をご紹介した伊関友伸先生の著書「まちの病院がなくなる?! 地域医療の崩壊と再生」について。


 伊関友伸のブログには、毎日数千のアクセスがある。中身は、ほとんどが「医療崩壊」に関係する配信記事の引用である。これらの記事を読み続けていると、「医療崩壊」現象が決して一部の地域だけのものでなく、身体を蝕む悪性疾患のように日本全体で緩徐に進行していることが分かる。


 伊関友伸氏は、以前は埼玉県職員だった。公立病院改革ガイドラインをまとめた武弘道先生と一緒に改革事業を進めたこともある。しかし、朝日新聞への投稿をみると、公立病院改革ガイドラインに対して批判的な意見を持っていることが分かる。私も、以前、公立病院改革ガイドラインと医療崩壊(まとめ)というエントリーを記載した。


 どのようにしたら、医療崩壊を押しとどめ、再生への道を進むことができるのだろう。ヒントは「丹波のお母さんたちの運動」にあるのではないかと最近感じている。医療機関は地域の財産であり、医師とのコミュニケーションを大事にし、ともに病院を支えることが自分たちの健康を守ることになる。そのことに気づいたお母さんたちの運動が、地域を変え始めている。「まちの病院がなくなる?! 地域医療の崩壊と再生」で、「丹波のお母さんたちの運動」に触れた部分を読むたびに目頭が熱くなる。
 私の勤める病院は、地域の人々の浄財で作られた。病院の「友の会」で様々な行事を行っている。秋に行われる「健康まつり」は地域の人々も楽しみにしている。中学校のブラスバンドの演奏、民謡サークルなどの出し物で賑わう。ボランティアも大勢いる。通所リハビリテーション、病院内の案内係、駐車場の誘導など、いろいろなことに力をいただいている。そういう方々の姿をみていると、病院から「立ち去る」ことなんてできないと感じてしまう。中小病院にとって厳しい医療制度改悪が続くが、何とか生き延びる方法を模索している。


 伊関友伸著 「まちの病院がなくなる?! 地域医療の崩壊と再生」は、「医療崩壊」問題を考える上で必読の書籍である。