看護必要度と日常生活機能指標

 先日示したCBニュース、リハビリ成果主義、在宅復帰率などで(2007年12月3日)というニュース内に次のような記載がある。

「重症患者の入院率」では、日常生活に必要な身体機能(日常生活機能)で「重症度」を判断する。看護にかかる手間を判断する「看護必要度」と同様の指標を導入し、「寝返り」「起き上がり」「食事の摂取」「衣服の着脱」などの13項目で0点〜20点を付けて、10点以上を重症とする。


 CBニュース、高度急性期病院に看護必要度を導入?(2007年10月10日)という記事を読んだ。「看護必要度」は、A得点とB得点に分かれるが、このB得点と中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年11月30日資料リハビリテーションについての「資料(診ー2ー3)」の中にある日常生活機能指標が全く同じものである。


 看護必要度導入に関する議論について引用する。

 次期診療報酬改定に向けた検討の第1回目となった10月3日の中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=土田武史・早稲田大商学部教授)で、厚労省は「看護職員配置と看護必要度に関する実態調査」の結果を公表した。現在、看護必要度が導入されている「特定集中治療室管理料」と「ハイケアユニット入院医療管理料」のうち、「ハイケアユニット入院医療管理料」で用いられている評価票を調査に使用し、患者に提供した看護を1分刻みで調べた。
 調査の結果、「7対1」「10対1」「13対1」における入院患者の違いが明らかになれば、7対1入院基本料の施設基準に導入する看護必要度の指標にする予定だった。
(中略)
 調査結果によると、A得点の平均点は「7対1病院」が1.70、「10対1」が1.66、「13対1」が1.53となっており、ほとんど差がなかった。
 一方、B得点では「7対1」の平均が5.24、「10対1」が6.17、「13対1が7.12と、看護配置が低くなるほど平均値が高いという“逆転現象”が起きていた。
(中略)
 対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)は「患者特性が変わらないのならば、支払側として“何をやっていたんだ”ということになる。看護師が多くいるだけで患者特性が変わらないのであれば、施設基準や配置基準の適正さを議論していかなければならない」と不満を表した。
(中略)
 土田会長も「医療必要度をもっと厳密に見る必要がある。もう少しきめ細かい調査を踏まえて再度議論したい。7対1と10対1で差が出てくれば、看護師の重点配置の議論に結びつくだろう」と述べ、再調査の結果を踏まえて、看護必要度の導入に踏み切る方針を示した。


 高度急性期病院に「看護必要度」の高い患者が集まっているという仮説を検証するために調査をしたが、治療や処置の内容に大きな違いはなく、逆に、患者の日常生活能力(ADL)や療養上の世話の内容は「13対1算定病院」の平均値が最も高いという逆転現象が生じていた。しかし、厚労省は「看護必要度」を「7対1病院」を減らす目的で強引に導入しようとしている。そればかりか、本来の目的と異なる回復期リハビリテーション病棟にも、日常生活機能指標と名前を変え使用させようとしている。