書評

「予想どおりに不合理」その2

行動経済学の名著、「予想どおりに不合理」のまとめの続き。なお、( )内は私の感想・メモである。予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/11/21…

「予想どおりに不合理」その1

行動経済学の名著、「予想どおりに不合理」を読んだ。気になったところをメモする。今回は第4章まで。予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/11/…

講演「チームワークとリーダーシップ」で推薦された書物

第4回リハビリテーション専門医会学術集会において、藤田保健衛生大学の才藤栄一先生が「チームワークとリーダーシップ」という題で教育講演を行った。推薦された書物をメモする。攻撃―悪の自然誌作者: コンラート・ローレンツ,日高敏隆,久保和彦出版社/メー…

リハビリテーション事典出版

中央法規出版より、リハビリテーション事典が出版されることになりました。発行日は、2009年10月20日です。私も、「地域における通所・訪問でのリハビリテーション」という項を受け持ちました。構想から数年、この間、医療・福祉情勢がめまぐるしく変わる中…

「全国一律不公平」

要介護認定一次判定の欠陥について論じた本がある。全国一律不公平―損する人トクする人が出る要介護認定 (ゆたかなくらしブックス (No.4))作者: 土肥徳秀出版社/メーカー: 萌文社発売日: 2000/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブロ…

リハビリテーションの思想

「リハビリ一般という点から最近の日本語の著書で良書があればお教えください。」という質問を受けた。どの本が良いかを悩んだが、私がリハビリテーション医を志すきっかけとなった本が良いだろうと思い、下記書籍をご紹介した。リハビリテーションの思想―人…

夢を跳ぶ

夢を跳ぶ―パラリンピック・アスリートの挑戦 (岩波ジュニア新書)作者: 佐藤真海出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/08/20メディア: 新書 クリック: 38回この商品を含むブログ (9件) を見る 笑顔の素敵さと誇らしげな義足姿に惹かれ思わず購入した本です…

「失語症者、言語聴覚士になる」

先日、平澤哲哉氏の講演を聴いた。氏の著書、「失語症者、言語聴覚士になる −ことばを失った人は何を求めているのか」、「失語症の在宅訪問ケア −続 失語症者、言語聴覚士になる」をご紹介する。失語症者、言語聴覚士になる―ことばを失った人は何を求めてい…

「閉じ込め症候群」の患者はなぜまばたきできるのか?

リハ医の集まりで、「閉じ込め症候群」が話題となった。 脳底動脈閉塞により脳幹部橋底部の両側障害が生じると、皮質脊髄路障害による四肢体幹麻痺、および顔面神経・外転神経麻痺障害による顔面筋麻痺、眼球外転障害が生じる。一見、重度意識障害を生じてい…

数字の暴力性

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉 (光文社新書)作者: 山田真哉出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/04/17メディア: 新書購入: 3人 クリック: 170回この商品を含むブログ (243件) を見る「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間…

良いP4P、悪いP4P

本ブログは、「回復期リハビリテーション病棟への成果主義導入」に反対する目的で立ち上げた。この間の主張に関しては、関連エントリーをご参照していただきたい。【関連エントリー】 回復期リハビリテーション病棟と成果主義(まとめ)(2007年12月17日) …

「プチ生活保護」の勧め

引き続き、「生活保護VSワーキングプア」について。生活保護VSワーキングプア (PHP新書)作者: 大山典宏出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/01/16メディア: 新書購入: 11人 クリック: 197回この商品を含むブログ (41件) を見る 平成19年度 社会福祉行…

生活保護ケースワーカーでも「立ち去り型サボタージュ」常態化

生活保護VSワーキングプア (PHP新書)作者: 大山典宏出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/01/16メディア: 新書購入: 11人 クリック: 197回この商品を含むブログ (41件) を見る 本書を読んで気になった部分、生活保護ケースワーカーでも「立ち去り型サボタ…

リハビリテーション医療のおける安全管理・推進のためのガイドライン

リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン作者: 日本リハビリテーション医学会出版社/メーカー: 医歯薬出版発売日: 2006/03/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 8人 クリック: 61回この商品を含むブログ (1件) を見る リハビ…

霞ヶ関の内幕暴露、「さらば財務省!」

さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白作者: 高橋洋一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/03/19メディア: 単行本購入: 18人 クリック: 545回この商品を含むブログ (146件) を見る 副題にひかれ、購入した。 東大理学部数学科出身という異色の財務省…

医療崩壊はこうすれば防げる!

医療崩壊はこうすれば防げる! (新書y)作者: 本田宏出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2008/07メディア: 新書購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブログ (10件) を見る 医療崩壊を防ぐために積極的に発言を続けている本田宏先生の新刊である。医療崩壊の深…

「改革」のための医療経済学

「改革」のための医療経済学作者: 兪炳匡出版社/メーカー: メディカ出版発売日: 2006/07/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 67回この商品を含むブログ (28件) を見る 兪炳匡(ゆうへいきょう)氏著、「改革」のための医療経済学を読んだ。 序に、青木昌…

偽装請負の蔓延

偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43)作者: 朝日新聞特別報道チーム出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2007/05/11メディア: 新書購入: 5人 クリック: 64回この商品を含むブログ (60件) を見る 私の頭の中では、偽装請負=キャノン、という図式ができ…

レッドソックス・ネーションへようこそ

李啓充氏は、米国の医療事情に詳しい著作家という側面の他に、ボストン在住の大リーグコラムニストという一面がある。先日行われた医療講演会で勧められた著書2冊をご紹介する。レッドソックス・ネーションへようこそ作者: 李啓充出版社/メーカー: ぴあ発売…

医療・社会保障改革の3つのシナリオ

二木立先生は、医療・社会保障改革には3つのシナリオがあると述べている。特に、「21世紀初頭の医療と介護ー幻想の「抜本改革」を超えて」では、「序章 21世紀初頭の医療・社会保障改革 ー 3つのシナリオとその実現可能性」全てを費やして詳しく述べている…

医療立国論

医療立国論―崩壊する医療制度に歯止めをかける!作者: 大村昭人出版社/メーカー: 日刊工業新聞社発売日: 2007/05/01メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 27回この商品を含むブログ (7件) を見る 大村昭人先生の著書、「医療立国論」をご紹介する。 本書は、…

脳卒中データバンク2005

脳卒中データバンク〈2005〉作者: 小林祥泰出版社/メーカー: 中山書店発売日: 2005/04メディア: 大型本 クリック: 11回この商品を含むブログ (1件) を見る 脳卒中急性期データベース構築研究主任研究者の小林祥泰氏の編集による、「脳卒中データバンク2005」…

記憶障害のケア−患者さんと家族のためのガイド−

記憶障害のケア―患者さんと家族のためのガイド作者: リンダクレア,バーバラ・A.ウィルソン,Linda Clere,Barbara A. Wilson,綿森淑子出版社/メーカー: 中央法規出版発売日: 1999/06メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (2件) を見る 高次脳…

地域ケアを見直そう

備酒伸彦氏の著書、「地域ケアを見直そう」をご紹介する。以前、本ブログ備酒伸彦氏の講演というエントリーでも氏の魅力についてとりあげた。地域ケアを見直そう作者: 備酒伸彦出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2003/06メディア: 単行本購入: 1人 クリック:…

「医療改革 危機から希望へ」

全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会研究大会における二木立先生の講演「今後の医療制度改革とリハビリテーション医療」について、以前記載した。この講演でご紹介いただいた著書「医療改革 危機から希望へ」を読んでいるところである。医療改革―危…

日本におけるリハビリテーションの歩み

シリーズ福祉に生きる8 高木憲次高木憲次 (シリーズ 福祉に生きる)作者: 村田茂,一番ヶ瀬康子,津曲裕次出版社/メーカー: 大空社発売日: 1998/11メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (1件) を見る わが国の障害者福祉、とくに肢体不自由児…

「まちの病院がなくなる?! 地域医療の崩壊と再生」

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生作者: 伊関友伸出版社/メーカー: 時事通信出版局発売日: 2007/12/01メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 78回この商品を含むブログ (15件) を見る 先ほど、ブログ記事をご紹介した伊関友伸先生の著書「まちの…

「医療費抑制の時代」を超えて ーイギリスの医療・福祉改革

英国の医療改革をモデルに日本の将来への提言 人手不足による過重労働を日々実感している医療者にとって,昨今の医療費抑制政策への不安は現実問題になりつつある。本書は厳しい医療費抑制政策により荒廃した英国の医療現場を生々しく伝え,ブレア政権以降の…

ウェブ進化論の私的影響

不特定多数無限大の良質な部分にテクノロジーを組み合わせることで、その混沌をいい方向へ変えていけるはずという思想を、この「力の芽」は内包する。そして、その思想は、特に若い世代の共感をグローバルに集めている。思想の精神的支柱になっているのは、…

こうしたら病院は良くなった!(異論部分)

武弘道先生の著書「こうしたら病院は良くなった!」の書評を続ける。今回は異論部分を中心に述べる。 # 第9章 日本の病院の目指すべき方向 医師は本当に足りないか 医師の派閥と縄張りはやくざのそれと酷似したところが多い、と具体例を上げ痛切に批判して…