地域包括医療病棟への転換を誘導する改定

 2026年3月5日、令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省上に、令和8年度診療報酬改定説明資料等について|厚生労働省が公開された。04_令和8年度診療報酬改定の概要 4.包括期・慢性期入院医療[2.0MB]別ウィンドウで開く内に、地域包括医療病棟に関する改定項目が記載されている。

 

 まず、診療報酬そのものが大幅に引き上げられた。この件に関しては、以前、地域包括医療病棟の見直し - リハ医の独白で取り上げた。

 

 施設基準も大きく緩和された。重症度、医療・看護必要度の基準が引き下げられただけでなく、基準該当患者割合に係る指数も3%増にとどまっており、実質的には緩和である。

 平均在院日数も85歳以上の高齢者が多いほど、長くても構わない仕組みが設けられた。

 ADLが低下した患者の割合も5%未満から7%未満へと緩くなった。

 なお、急性期病院A入院料などを算定する病院では地域包括医療病棟入院料は算定できないことに注意しなければならない。

 

 リハビリテーション・栄養・口腔加算1は引き上げられ、要件を緩和した加算2も設けられた。

 後方支援を評価した包括期充実体制加算も14日を限度として算定できるようになった。

 

 出来高払いとなる疾患別リハビリテーション料に関しては、早期リハビリテーションを行なっている地域包括医療病棟に有利となる改定がされている。

 13_令和8年度診療報酬改定の概要 13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション)[1.4MB]別ウィンドウで開くを見ると、早期リハビリテーション加算の算定日数は30日から14日と短くなったが、入院前日から3日目までの点数は引き上げられている。新たに休日リハビリテーション加算も30日以内なら算定できる。

 

 基本診療料を引き上げ、施設基準を緩和し、算定できる加算が増え、出来高払いとなる疾患別リハビリテーション料も早期リハビリテーションを施行する患者に多い地域包括医療病棟に有利という条件がそろった。

 新たな地域医療構想では、高度急性期・急性期病棟を減らし、包括期を担う病棟を増やそうとしている。医療機関機能では、急性期拠点機能は限られた医療機関のみとし、残りの急性期医療機関は高齢者救急・地域急性期機能を担う病院へ転換させることを目指している。今回診療報酬改定は、新たな地域医療構想が目指す方向に前倒して誘導する内容となっており、地域包括寮病棟に関する改定は、その中でも重要な柱となっている。

看護・多職種協働加算では疾患別リハビリテーション料は算定不可

 2026年3月5日、令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省上に、令和8年度診療報酬改定説明資料等について|厚生労働省が公開された。03_令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療[1.6MB]別ウィンドウで開くにおいて、看護・多職種協働加算が紹介されている。

 

 


 本加算を算定した場合、急性期一般入院料4では、同入院料1と同じ点数となる。看護職員を含む多職種(PT、OT、ST、管理栄養士又は臨床検査技師)の協働が想定されている。

 リハビリテーション専門職が配置された場合、疾患別リハビリテーション料が算定できるかが問題となる。

 令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省上にある診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)の医科点数表[4.0MB]別ウィンドウで開く の60〜61ページに次のような記述がある。

(4)看護・多職種協働加算において配置された者は、病棟における業務に従事している時間において、原則として第2章特掲診療料の点数は別に算定できない。ただし、常態として勤務時間の大部分は病棟に配置され、第7部第1節リハビリテーション料(「H004」摂食機能療法を除く。)の算定を行わない者に限り、「H004」摂食機能療法の算定は可能である。なお、病棟における業務に従事している時間に、「B005」退院時共同指導料及び「B005-1-2」介護支援等連携指導料に係る指導等に従事することは差し支えない。

 特掲診療料の中に疾患別リハビリテーション料は含まれるので、算定できないことになる。

 残念ながら、看護・多職種協働加算を算定するためにリハビリテーション専門職を多数配置する病院はほとんどないと予想する。

急性期拠点機能を有する病院絞り込みの前倒し

 2026年3月5日、令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省上に、令和8年度診療報酬改定説明資料等について|厚生労働省が公開された。

 先日、遅くとも2028年までに急性期拠点機能を報告する医療機関を決定 - リハ医の独白というエントリーを記載した。今回の診療改定において、2028年までに急性期拠点機能を有する病院の絞り込みを前倒しして行おうとされていることを確認した。

 

 03_令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療[1.6MB]別ウィンドウで開くでは、病院全体の急性期機能に着目した急性期病院一般入院基本料が新設されたことが示されている。

 

 

 

 急性期病院A一般入院料と以前からある急性期一般入院料1を比較すると、医療・看護必要度には差がなく、点数も大きく離れていない。ただし、算定できる加算には大きな違いがある。最も重要なのは、総合入院体制加算と急性期充実加算を統合して新設された急性期総合体制加算が、急性期病院A一般入院料およびBでしか算定できないことである。

 

 

 

 

 急性期総合体制加算の要件はきわめて厳しい。逆にこの要件をクリアしなければ急性期病院A一般入院料を算定するメリットはない。

 これまで、急性期一般入院料1を算定した病院は、総合入院体制加算と急性期充実加算のいずれかを算定していた。しかし、新たに設定された急性期総合体制加算を算定できないのであれば、入院基本料増額の恩恵は限定的なものになってしまう。

 

 高度急性期医療を行っている医療機関への加算は他にもある。例えば、15_令和8年度診療報酬改定の概要 15.医療技術の適切な評価[3.2MB]別ウィンドウで開くを見ると、ロボット手術も高度急性期病院で行われた場合のみに加算がつくことになった。

 

 

 今まで、急性期一般入院料1を算定した病院は二極化せざるを得ない。新たな地域医療構想に基づいた区分で示すと、急性期拠点機能を持った病院と、高齢者救急・地域急性期機能に在宅医療等連携機能、専門等機能を併せ持った病院とに分かれる。前者は、人口20〜30万人にひとつしか今後認められないことを考えると、急性期病院のかなりの部分が後者を選択せざるを得ない。高度急性期機能に必要な医療機器も専門医も急性期拠点機能を担う医療機関に集約されていく。

 急性期一般入院料1を算定する地域の二次救急医療機関は、高齢者救急に必要な機能は何かを真剣に考えて対応していく必要がある。今回の診療報酬改定では、多職種協働とリハビリテーション・栄養管理・口腔管理の推進が取り上げられている。急性期医療において、リハビリテーション関連職種の活躍が期待されている診療報酬改定であるとも言える。

遅くとも2028年までに急性期拠点機能を報告する医療機関を決定

 2024年に、新たな地域医療構想等に関する検討会|厚生労働省が行われ、新たな地域医療構想等に関する検討会とりまとめ|厚生労働省が公表された。

 

 とりまとめの中で、病床機能については、これまでの「回復期機能」については、その内容に「高齢者等の急性期患者への医療提供機能」を追加し、「包括期機能」として位置づけられることになった。

 さらに、医療機関機能に着目した報告制度も設ける方針となった。構想区域ごと(高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能、専門等機能)、広範な観点(医育及び広域診療機能)で確保すべき機能や今後の方向性等を報告することになった。

 なお、回復期リハビリテーション病棟主体の病院は、上記区分では専門等機能を有する医療機関として位置付けられる。また、地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟がある病院は、高齢者救急・地域急性期機能を有する医療機関となる。いずれも、通常は在宅医療等連携機能も有している。したがって、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟をもつ中小病院は、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、専門等機能の3つの機能を有するという扱いになる。

 

 現在、このとりまとめを受け、地域医療構想及び医療計画等に関する検討会|厚生労働省が開かれている。第10回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会:資料|厚生労働省資料1 新たな地域医療構想策定ガイドラインについて(地域での協議、構想区域に関する協議、医療機関機能に関する協議、地域医療構想調整会議のあり方、精神医療に関する地域医療構想の今後の検討体制(報告))[PDF形式:3.8MB]別ウィンドウで開くでは、医療機関機能、特に急性期拠点機能に関する具体的スケジュールに関し次のような提案がされている。

 

 

 重要な点をまとめると、次のとおりとなる。

  • 2026年以降協議を開始し、急性期拠点機能を有する医療機関の決定を遅くとも2028年までに行い、連携・再編・集約化の取組の一定の完結は2035年を目処に進める。
  • 急性期拠点病院の数については、20-30万人に1医療機関を目安とするが、手術件数等や他区域からの流入が多い場合に2つとすることや、人口が30万人超であっても流出が多く、症例数が少ない場合に1医療機関を目安として取り組む。

 例えば、医療圏人口が150万人の大都市圏であっても、急性期拠点機能を有する医療機関は5ヶ所が基準となる。実質的には患者の流入を考慮し、7〜8ヶ所に集約されることになるだろう。そして、地域医療構想においては、救急車受け入れ件数や全身麻酔件数などのデータをもとに絞り込みが行われるため、実績豊富な医療機関だけが指定を受けることになると推測する。

 

 今回の診療報酬改定において、医療・看護必要度の基準が変更された。 中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]の121〜128ページに、重症度、医療・看護必要度の見直し、という改定項目の説明がある。基準の詳細はこれから明らかになるが、地域医療構想、医療計画の見直しのテンポを考えると、急性期拠点機能を有する医療機関を絞り込む意図があると考えた方が良い。

 いわゆる二次医療機関のかなりの部分は、今後、地域医療構想からも診療報酬の面からも高齢者救急・地域急性期機能にシフトしていかざるを得ないように誘導されていく。これらの医療機関において、病院方針決定の検討に残された時間はさほど多くはない。

 

身体的拘束の最小化(2)身体的拘束最小化の実績等に係る基準

 中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]の479〜486ページをもとに身体的拘束最小化に関わる規定を確認する。今回は、診療報酬の規定する身体的拘束最小化の実績等に係る基準を確認する。

  1. 身体的拘束最小化の体制に係る基準
    • 身体的拘束の最小化を行うにつき十分な体制が整備されていること。
  2. 身体的拘束最小化の実績等に係る基準
    • 身体的拘束の最小化につき相当の実績を有していること又は身体的拘束の最小化について適切な取組を行なっていること。

 

 身体的拘束最小化の実績等に係る基準については、以下のように具体的に記述されている。

 以下のいずれかを満たすこと

  • ア 身体的拘束の実施割合(身体的拘束を実施した日数/当該入院料を算定した日数)が集計されており、当該保険医療機関内で1割5分以下であること。
  • イ 身体的拘束の原則廃止に向けて、(イ)から(ハ)までの全ての取組みを継続して行なっていること。
    • (イ)身体的拘束最小化チームにおいて、身体的拘束の実施状況を踏まえ、身体的拘束の最小化に向けた具体的取組を検討するための委員会を3か月に1回以上開催していること。
    • (ロ)身体的拘束が行われている病棟に対し、次の取組のいずれかが行われていること。
      1. 身体的拘束最小化チームによる病棟の巡回が定期的に行われ、病棟の職員とともに身体的拘束が行われている患者の解除や代替策の導入に向けた具体的検討が積極的に行われていること。
      2. 身体的拘束が行われている患者が生じる都度、病棟の複数の職員による解除や代替策の導入に向けた具体的な検討が積極的に行われていること。
    • (ハ)当該保険医療機関内で、入院患者に関わる職員を対象として、患者の尊厳の保持の重要性及び身体的拘束の最小化に向けた具体的事例の紹介を含む内容の研修が年に2回以上実施されていること。

 

 数値目標が具体的に示されていることに注目する必要がある。

 中央社会保険医療協議会 総会(第623回) 議事次第|厚生労働省総ー2入院について(その3)[PDF形式:5.6MB]別ウィンドウで開くに身体的拘束の実施割合に関する資料がある。

 

 

 治療室(ICUなど)、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟で比較的身体拘束の割合が多く、中央値は10〜20%の範囲となっている。おそらく、このデータをふまえて、身体的拘束最小化の数値目標が15%以下になったと推測する。

 

 療養病棟、地域包括ケア病棟では、今回、身体的拘束最小化推進体制加算という基準が設けられた。

 

 

 明記されていないが、身体的拘束最小化に関する十分な実績には数値目標が含まれていると推測する。身体拘束最小化に向けた院内研修、院内掲示、ウェブサイト掲載も含め、積極的な取組みが求められている。

身体的拘束の最小化(1)定義

 引き続き、2026年度診療報酬改定について検討する。中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]の479〜486ページをもとに身体的拘束最小化に関わる規定を確認する。まず、診療報酬の規定する身体的拘束の定義を確認する。

 

 

 第2部 入院料等の通則に身体的拘束最小化に関する減算の記述がある。保険医療機関全体に影響が及ぶ重要な規定である。

  • 身体的拘束最小化の基準を満たすことのできない保険医療機関について、所定点数から1日につき40点を減算する。
  • ただし、(身体的拘束最小化に関する基準のうち、身体的拘束最小化の実績等に係る基準を満たしていない場合)、身体的拘束最小化の体制に係る基準は満たす保険医療機関については、所定点数から1日につき20点を減算する。

 

 身体的拘束最小化の実績等に係る身体的拘束の基準は次のとおりとなっている。

  • 身体的拘束とは、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいうこと。
  • ただし、実施した身体的拘束が以下のアからウまでのいずれかに該当する場合は、身体的拘束を実施した日数に含めない。なお、アからウまでに該当する場合であっても、常に身体的拘束の解除や代替策の導入について検討し、身体的拘束の最小化に努めること。
    • ア 衣服に触れるものの、患者の動作により容易に外れ、患者の自発的な運動を制限することはない状況で用いられる、見守りや職員を呼ぶためのセンサー等を使用している場合
    • イ 処置時や移動時に、患者本人又はその家族の同意を得た上で、安全確保のために短時間固定ベルト等を使用する場合であって、使用している間、常に職員化介助等のために当該患者の側に付き添っており、処置や移動の終了時に確実に解除している場合
    • ウ 患者が訓練のために自由に車椅子を操作することのできる状態であって、患者本人又はその家族の同意を得た上で、車椅子操作による訓練の時間中のみ安全確保のために固定ベルトを使用する場合(車椅子の前にオーバーテーブルを設置する、車椅子をロックする等の方法により、患者本人の活動を制限している場合は該当しない

 

 中央社会保険医療協議会 総会(第623回) 議事次第|厚生労働省総ー2入院について(その3)[PDF形式:5.6MB]別ウィンドウで開くに身体的拘束の資料がある。

 

 この図に示されている処置時等の一時的身体的拘束や衣服に装着して患者等の離床等を把握するクリップセンサー等を身体的拘束最小化に係る実績等に含めないために、定義の明確化が行われている。

 

 なお、身体的拘束の定義が不明確のため、医療、介護の現場に混乱が起きている。臨床研究においても、身体的拘束の定義が異なると各研究を比較検討することが難しくなる。

 


 本論文では、Physical Restraintsを次のように定義している。

"Physical restraint is defined as any action or procedure that prevents a person's free body movement to a position of choice and/or normal access to his/her body by the use of any method, attached or adjacent to a person's body that he/she cannot control or remove easily.”

 身体的拘束とは、いかなる方法によっても、本人が容易に制御または除去できない方法で身体に装着または隣接させ、本人の自由な身体動作を制限し、任意の位置への移動を妨げ、および/または自身の身体への通常のアクセスを妨げるあらゆる行為または処置をいう。

 

 診療報酬で定義された身体的拘束は、上記に照らしあわせれば、身体に装着した行動制限の行為または処置に該当する。身体に隣接させた行動制限で最もよく論文に出てくるのはbed railである。四方をベッド柵で囲み、降りられないようにすることである。私は、前者を身体的拘束(狭義)、後者を身体的拘束(広義)と区別している。身体的拘束最小化の指導をする際は、まず身体的拘束(狭義)を行わないことを目指すとともに、身体的拘束(広義)である4点柵も最小化を目指すことが大事であるということを強調している。

物価対応料

 2026年度診療報酬改定の概要が明らかになった。中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]11〜12ページと、総-2別紙1-1医科診療報酬点数表[PDF形式:8.3MB]別ウィンドウで開くの917〜943ページをもとに、物価対応料について確認する。

 

 物価対応料は、基本診療料等に併せて算定可能な加算として設定されている。今回の診療報酬点数表に掲載されているのは、令和8年度分である。

 

 回復期リハビリテーション病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料1に関係するものは下記のとおりである。これまでの記事に下記情報を加え、更新を行なった。