リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(4)神経筋疾患

 神経筋疾患に関わるガイドラインに関しては、Mindsガイドラインライブラリよりは、ガイドライン|日本神経学会の方が明らかに充実している。なお、サイトマップ|日本神経学会にも、パーキンソン病治療ガイドライン2011などの古いガイドラインが掲載されており、こちらも参考になる。

 

 パーキンソン病治療ガイドライン2011の第Ⅱ編 クリニカル・クエスチョン第3章 運動症状の非薬物治療の139〜142ページにあるリハビリテーションをみると、「リハビリテーションは、内科的かつ外科的な治療に加えて行うことで、症状のさらなる改善が期待できる治療法である」となっており、高い推奨レベルとなっている。一方、パーキンソン病診療ガイドライン2018では、第Ⅰ編 抗パーキンソン病薬、外科手術、リハビリテーションの有効性と安全性、第11章  パーキンソン病のリハビリテーションに、2010年以降のエビデンスが追加され、有効かつ安全であり、臨床への応用としては、早期から進行期までどのステージにおいても介入すると有効性が高いと思われる、と記載されている。パーキンソン病ガイドラインに関しては、2011年版、2018年版の両者をそろえておくことが適当である。

 

パーキンソン病診療ガイドライン2018

パーキンソン病診療ガイドライン2018

 

 

 

パーキンソン病治療ガイドライン 2011

パーキンソン病治療ガイドライン 2011

  • 発売日: 2011/04/01
  • メディア: 単行本
 

 

 その他、リハビリテーション科にとって重要なガイドラインとしては、以下のようなものがある。

・ 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018

・ 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017

・ デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン2014

・ 重症筋無力症診療ガイドライン2014

・ 筋萎縮性側索硬化症診療ガイドライン2013

・ 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー、多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2013

リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(3)外傷性脊髄損傷

  Mindsガイドラインライブラリで外傷性脊髄損傷に関するガイドラインを探したが、該当するものはなかった。

 日本脊髄損傷医学会の推薦図書https://www.jascol.jp/book/index.htmlを見ると、最も新しいものは、2010年に発行されたものとなっている。

 

 

 次に取り上げられている頸髄損傷のリハビリテーションは、推薦図書では改定第2版となっているが、既に第3版が出ている。

 

 同様に、神奈川リハビリテーション病院が関わった脊髄損傷リハビリテーションマニュアルは、改定第2版から20年以上経って第3版が出ている。

脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版

脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版

  • 発売日: 2019/06/03
  • メディア: 単行本
 

 

  ガイドラインそのものはないが、日本脊髄損傷医学会が推薦した書籍として上記書籍はそろえておいた方が良さそうである。

 

 なお、Mindsガイドラインライブラリでは、脊髄損傷における下部尿路機能障害の診療ガイドライン[2019年版]神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドラインが関連ガイドラインとして紹介されている。後者は日本リハビリテーション医学会がまとめたものである。いずれも無料で公開されている。

 

 

 

 

リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(2)運動器疾患・外傷 2)脊椎・骨関節疾患ほか

  脊椎に関しては、腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版) | Mindsガイドラインライブラリ腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版) | Mindsガイドラインライブラリ腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011 | Mindsガイドラインライブラリがある。いずれも全文が公開されている。

腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)

腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)

  • 発売日: 2019/05/13
  • メディア: 単行本
 

 

腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

  • 発売日: 2011/07/06
  • メディア: 単行本
 

 

腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011

腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011

 

 

 一方、(旧版)頚椎症性脊髄症診療ガイドライン 2015 | Mindsガイドラインライブラリに関しては、改訂第3版となる2020年版が出ている。こちらはWebには公開されていない。

頚椎症性脊髄症診療ガイドライン2020(改訂第3版)

頚椎症性脊髄症診療ガイドライン2020(改訂第3版)

  • 発売日: 2020/09/16
  • メディア: 単行本
 

 

 (旧版)頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン 2011 | Mindsガイドラインライブラリに関しても新版が出ているとのことだが、どうやら、脊柱靭帯骨化症診療ガイドライン 2019 | Mindsガイドラインライブラリに統一されたようである。こちらもWebには公開されていない。

脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン2019

脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン2019

  • 発売日: 2019/10/22
  • メディア: 単行本
 

 

 脊椎に比し、各関節の主要疾患に関するガイドラインは整備されておらず、変形性股関節症診療ガイドライン2016 | Mindsガイドラインライブラリのみである。

変形性股関節症診療ガイドライン2016(改訂第2版)

変形性股関節症診療ガイドライン2016(改訂第2版)

  • 発売日: 2016/05/16
  • メディア: 単行本
 

 

 その他、いくつか整形疾患に関係するガイドラインがあるが、今回は省略する。

  なお、日本整形外科学会が南江堂から出すガイドラインは、 表紙のデザインからは見分けがつかない。間違って購入しないように心がける必要がある。

 

 

 

リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(2)運動器疾患・外傷 1)骨折

 次に、Mindsガイドラインライブラリで運動器疾患・外傷に関わるガイドラインを探した。日本整形外科学会の医学生・医師向け出版物|公益社団法人 日本整形外科学会も参考にした。

 

 まず、リハビリテーション医療において重要な疾患のひとつである大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版) | Mindsガイドラインライブラリに関しては、全文が公開されている。リハビリテーションだけではなく、合併症や予後に関しても詳しく記載されている。必携図書である。

大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン

大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン

  • 発売日: 2011/05/27
  • メディア: 単行本
 

 

 骨折に関しては、橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2017 | Mindsガイドラインライブラリも全文公開されている。リハビリテーション、機能評価・予後に関する項目があり、揃えておきたいガイドラインのひとつである。

橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2017(改訂第2版)

橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2017(改訂第2版)

  • 発売日: 2017/05/02
  • メディア: 単行本
 

 

 関連ガイドラインとして、Mindsガイドラインライブラリでは(旧版)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2011年版があるが、ガイドライン|日本骨粗鬆症学会 Japan Osteoporosis Societyにより新しい予防と治療ガイドライン2015年版が公開されている。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

  • 発売日: 2015/07/10
  • メディア: 単行本
 

 

リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(1)脳血管障害・頭部外傷など

 まず、Mindsガイドラインライブラリで脳血管障害・頭部外傷などに関するガイドラインを探した。

 脳卒中に関しては、脳卒中治療ガイドライン 2015 [追補2019対応] | Mindsガイドラインライブラリがある。しかし、残念ながら、「本ガイドラインは掲載準備中です。著作権者の許諾、掲載画面の作成等の準備が整い次第、本文を掲載します」となっており、本ガイドラインは購入せざるをえない。

 

脳卒中治療ガイドライン2015〔追補2019対応〕

脳卒中治療ガイドライン2015〔追補2019対応〕

  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 大型本
 

 なお、脳卒中治療ガイドライン2015に記載されているように、[追補2019](改訂部分のみ、26項目)は、脳卒中治療ガイドライン | 日本脳卒中学会 - The Japan Stroke Societyで公開されており、PDFを無料でダウンロード、プリントアウトできる。なお、旧版の脳卒中治療ガイドライン 2009 | 日本脳卒中学会 - The Japan Stroke Societyは公開されている。

 現在、脳卒中治療ガイドライン2021発行準備が進んでおり、脳卒中治療ガイドライン2021 | 協和企画 ガイドラインパブリックコメント募集サイトにて、2021年1月13日まで、募集が行われている。新版発行間近であることを考慮すると、2015年版の購入は控えておいた方が良さそうである。

 

 頭部外傷治療・管理のガイドライン第4版 | Mindsガイドラインライブラリも本文掲載はされていないので、購入が必要である。

 

 

 医学書院/書籍・電子メディア/頭部外傷治療・管理のガイドラインで目次を見てみると、外傷に伴う高次脳機能障害、早期リハビリテーションという部分がリハビリテーション医療に関わってくる。 

 

 関連疾患としては、てんかんが重要である。こちらの方は、てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン|ガイドライン|日本神経学会で公開されている。

 

てんかん診療ガイドライン2018

てんかん診療ガイドライン2018

  • 発売日: 2018/03/26
  • メディア: 単行本
 

 

 脳梗塞再発予防として、抗血栓薬や抗凝固薬を服用している場合の消化器内視鏡、抜歯に関するガイドラインとしては、抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン | Mindsガイドラインライブラリ科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン 2015年改訂版 | Mindsガイドラインライブラリがある。前者に関しては、抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017が出ている。後者に関しては、2020年版が最新のものとなっている。

 

 

リハビリテーション科専門研修と診療ガイドライン

 新年明けましておめでとうございます。

 

 元旦ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、どこにも行かずスティホームしています。時間ができたので、この間宿題となっていたリハビリテーション科専攻医向けの診療ガイドラインのまとめを行っています。ご参考になれば幸いです。

 

【目次】

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(1)脳血管障害・頭部外傷など - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(2)運動器疾患・外傷 1)骨折 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(2)運動器疾患・外傷 2)脊椎・骨関節疾患ほか - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(3)外傷性脊髄損傷 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(4)神経筋疾患 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(5)切断 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(6)小児疾患 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(7)リウマチ性疾患 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(8)内部障害 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(9)その他 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(10)集中治療における早期リハビリテーションとCOVID-19関連 - リハ医の独白

 

<はじめに>

 公益財団法人日本医療機能評価機構のコンテンツのひとつとしてMindsガイドラインライブラリがある。日本における各種診療ガイドラインが収集されており、医師にとって必見のサイトのひとつである。しかし、2021年1月1日現在で583ものガイドラインがあり、慣れないと目的とするガイドラインを探すのに一苦労する。また、Web上で読むことができるものと「本文なし」で書籍を購入せざるをえないものの両者があり、確認が必要である。

 

  

 リハビリテーション科専門研修プログラム整備基準[日本専門医機構承認]を見ると、リハビリテーション科専門医の研修分野は、(1)脳血管障害・頭部外傷など、(2)運動器疾患・外傷 、(3)外傷性脊髄損傷、(4)神経筋疾患 、(5)切断、 (6)小児疾患 、(7)リウマチ性疾患、(8)内部障害、(9)その他となっている。さらに、診療実績基準として、1名の専攻医が経験すべき最低患者数は以下のように詳細に規定されている。

 

(1)脳血管障害・頭部外傷など:15例 うち脳血管障害13例、頭部外傷2例

(2)運動器疾患・外傷:19例 うち肩関節肘関節の疾患それぞれ1例を含む3例以上、股関節膝関節の疾患それぞれ1例を含む3例以上、脊椎疾患腰痛それぞれ1 例を含む3例以上、骨折2例以上、靭帯損傷・捻挫1例以上、末梢神経障害(絞扼性神経障害)1例以上、脊柱変形1例以上

(3)外傷性脊髄損傷:3例 (但し、脊髄梗塞、脊髄出血、脊髄腫瘍、転移性脊椎腫瘍等、外傷性脊髄損傷と同様の症状を示す疾患を含めてもよい)

(4)神経筋疾患:10例 うちパーキンソン病2例以上(但し、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症などを含めてもよい)

(5)切断:3例

(6)小児疾患:5例 うち脳性麻痺2例以上

(7)リウマチ性疾患:2例 うち関節リウマチ1例以上

(8)内部障害:10例 うち循環器疾患(末梢血管障害1例を含む)3例以上、呼吸器疾患2例以上、腎・内分泌代謝疾患2例以上

(9)その他:8例 うち摂食嚥下障害1例以上、不動(廃用)による合併症1例以上、がん1例以上、骨粗鬆症1例以上、疼痛1例以上

 

 リハビリテーション科専門研修プログラム整備基準[日本専門医機構承認]では、学問的姿勢として、科学的思考・論理的思考に基づく治療を実践するため、専門書を調べたり、EBMガイドラインに則した治療ができるとか、症例・手技に関して、インターネットや文献検索等を活用して情報収集を行う能力と態度を修得するといったことが強調されている。このような状況を考慮すると、リハビリテーション科に関わるガイドラインを主要なものだけでも揃えておき、いつでも参照できるようにすることが望ましい。

 今回、リハビリテーション医療に関わるガイドラインを、Mindsガイドラインライブラリを使って整理してみることにした。

 

<追記>

 リハビリテーション診療に関わるガイドラインを調べている途中で、理学療法ガイドライン第1版 - 日本理学療法士学会があることに気づいた。16の疾患・領域に分かれ、エビデンスがまとめられている。診療ガイドラインが未整備の分野、例えば、外傷性脊髄損傷や切断などは、本ガイドラインが参考になる。

CHASEとVISIT

 第197回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料にて、【資料】令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(案)が提示され、来年度介護報酬改定の輪郭が見えてきた。今回は、この中で、自立支援・重度化防止の取組の推進の部分を取り上げられているCHASEとVISITについてまとめてみた。

 

 【資料】令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(案) の25〜37ページに、「3.自立支援・重度化防止の取組の推進」に関する記述がある。この中で、CHASE、VISITという用語が頻出用語として繰り返し出てくる。例えば、33〜34ページに次のような記載がある。

(2)介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進

① CHASE・VISIT 情報の収集・活用と PDCA サイクルの推進

【ア・イ:施設系サービス(介護療養型医療施設を除く)、通所系サービス ★、多機能系サービス★、居住系サービス★ ウ:全サービス★】

 介護サービスの質の評価と科学的介護の取組を推進し、介護サービスの質の向上を図る観点から、以下の見直しを行う。

 ア 施設系サービス、通所系サービス、居住系サービス、多機能系サービスについて、CHASE の収集項目の各領域(総論(ADL)、栄養、口腔・嚥下、 認知症)について、事業所の全ての利用者に係るデータを横断的に CHASEに提出してフィードバックを受け、それに基づき事業所の特性やケアの在り方等を検証して、利用者のケアプランや計画に反映させる、事業所単位での PDCA サイクルの推進・ケアの質の向上の取組を評価する新たな加算を創設する。その際、提出・活用するデータについては、サービスごとの特性や事業所の入力負担等を勘案した項目とする。加えて、詳細な既往歴や服薬情報、家族の情報等より精度の高いフィードバックを受けることができる項目を提出・活用した場合には、更なる評価を行う区分を設ける。

 

 CHASE、VISITについては、この問題について集中的に議論をした第185回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料(2020年9月14日)の【資料】自立支援・重度化防止の推進 の14ページにある介護関連データベースの構成という図がわかりやすい。

 

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 要介護認定情報・介護レセプト等情報は、介護保険総合データベース(介護DB)として運用されている。さらに、通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業の情報、通称"VISIT"が2018年度から、上記を補完する高齢者の状態・ケアの内容等の情報、通称"CHASE"が2020年度からデータベースに追加され運用されていることがわかる。なお、両者とも厳密に言えば英語の頭文字をつなぎ合わせた用語(頭字語)ではない。特にVISTの方は牽強付会としか言いようがない略語である。

 VISITは、埼玉県立大学のHP内にある厚生労働省 老人保健健康増進等事業採択実績、平成30年度実績、訪問・通所リハビリテーションのデータ収集システムの活用に関する調査研究事業に、CHASEは、科学的裏付けに基づく介護に係る検討会|厚生労働省科学的裏付けに基づく介護に係る検討会 中間とりまとめに、導入に至るまでの経緯がまとめられている。

 

 それぞれの項目の概要について示したのが、以下の図である。

 

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 なお、VISITの方は、リハビリテーションマネジメント加算(IV)の要件となっていたが、算定数はきわめて少ない状況だった。理由はVISIT入力に関する負担があまりにも大きかったためと厚労省は反省している。

 

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 今回の介護報酬改定において、厚労省はCHASE・VISITの項目が見直されることになった。第197回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料内にある【参考資料3】 審議報告案にかかる参考資料 には、次のような図が示されている。

 

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 見直しされたのはVISITの項目だけのようであるが、CHASEの項目もあわせて見ると、結局のところ、ICFに沿った評価(健康状態、心身機能、ADL・IADL、参加、背景因子)を行い、運動療法を主体としたリハビリテーション、栄養改善、口腔ケアを実施し、認知症に対するアプローチもあわせて行うことが介護保険分野で求められているように思えてくる。【参考資料3】 審議報告案にかかる参考資料 にも次のような図が示されている。

 

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 厚労省は、介護保険分野でもビックデータを集めたうえで政策提言をすることを目論んでいる。項目が減ったといっても現場の入力作業はかなり面倒である。しかし、ビックデータ収集の流れは逆戻りすることはないことをふまえ、データ収集を積極的に行い、フィードバックされたデータをもとに現場の業務改善を行うくらいの気概が必要なのかもしれない。