老衰が死因の第3位に

 ついに老衰が死因の第3位になった。

 人口動態調査 結果の概要|厚生労働省の人口動態統計月報年計(概数)の概況、平成30年結果の概要 [532KB]に、主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移のグラフがある。

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 詳細な数字は、人口動態統計(確定数)の概況、平成30年概況 [1,587KB]にある。死因順位表の総数部分のみを示す。

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 僅差ではあるが、老衰が脳血管疾患をかわし死因順位第3位に滑りこんでいる。しかも、2017年度と比べ、脳血管疾患と肺炎の死亡数がそれぞれ減少している一方、老衰は大きく伸ばしている。

 なお、肺炎による死亡数は、2017年度以降減少している。この要因は最初のグラフの欄外に記載されているように、ICD-10(2013 年版)(2017 年1月適用)による原死因選択ルールの明確化によるものと考えられる。詳細は、人口動態調査|厚生労働省にあるICD-10(2013年版)適用による死因統計への影響 [250KB]に下記のように記載されている。

 

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  人口動態調査 結果の概要|厚生労働省平成30年我が国の人口動態(平成28年までの動向)[1,522KB] に、主な死因別にみた性別年齢調整死亡率のグラフがある。基準となる人口集団は昭和60年(1985年)モデルである。

 

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 がん、心臓病、脳卒中、肺炎いずれにおいても長期低落傾向となっており、粗死亡率の上昇は人口の高齢化の影響を強く受けていることが示唆される。

 老衰に関する年齢調整死亡率は、人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡 年次 2018年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口の、5-14 死因(死因年次推移分類)別にみた性・年次別年齢調整死亡率(人口10万対)にある。グラフ化すると以下のようになる。

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 1950年から数値が始まっているが、いったん急落し、2005年で最低(男 5.6、女 6.6)となった後、少しずつ上昇している。2018年には男11.7、15.2となっている。年齢調整死亡率であり、人口構成の変化による影響はない。

 以前は、原因不明の死亡に関し老衰とつけることがあったが、医学の進歩とともに別の要因が明らかになり、老衰という診断が避けられるようになった。しかし、日本学術会議終末期医療のあり方について-亜急性型の終末期について-で慢性型終末期と定義された事例が増加するなかで、あえて老衰という診断名をつけるような医師の意識の変化が生じてきた結果ではないかと推測する。

 いずれにしろ、高齢化の進行とともに、老衰という死因がつけられた死亡例が増加することは間違いない。死因のなかで老衰が占める位置にはしばらく変更はなさそうである。