回復期リハビリテーション病棟入院料の再編・統合の概要

 平成30年診療報酬改定の概要が、徐々に明らかになってきた。

www.mhlw.go.jp

 

 2018年1月26日に開催された中医協総会の資料、「個別改定項目(その1)について」を見ると、細かな数値はまだ入っていないが、具体的な改定内容が記載されている。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf

 

 今回は、回復期リハビリテーション病棟入院料の再編・統合について、まとめる。

 総-1参考(PDF:313KB)を見ると、次のようなイメージ図が提示されている。

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 スタッフ体制などを除けば、実績をもとに、回復期リハビリテーション病棟入院料は現在の3段階から6段階に細分化される。しかし、よく見てみると、これまでの入院料がそれぞれ実績指数で2つに分けられただけであることがわかる。

 

 回復期リハビリテーション病棟入院料の実績に関する指標は、これまでは以下の5つだった。

  • 日常生活機能評価に基づく重症割合
  • 一般病棟用の重症度、看護・医療必要度A項目
  • 重症患者回復病棟加算要件
  • 在宅復帰率
  • 実績指数

 このうち、一般病棟用の重症度、看護・医療必要度A項目に関しては、今回、診療報酬要件から削除となった(参考:総-1(PDF:1,709KB)96ページ)。また、日常生活機能評価に基づく重症割合と重症患者回復病棟加算要件は、手をつけられていない。したがって、変更となったのは、在宅復帰率と実績指数とになる。この2項目のうち、どちらがより重要かとなると、在宅復帰率である。他の要件とあわせ、在宅復帰率要件を満たすかどうかで、新回復期リハビリテーション病棟入院料1・2、入院料3・4、入院料5・6がまず規定される。そのうえで、実績指数をふまえ、入院料1と2、3と4、5と6に細分化される。

 

# 在宅復帰率の要件見直し

 在宅復帰率の要件に係る見直しのイメージ図は下記のとおりである(参考:総-1(PDF:1,709KB)14〜19ページ)。

<現行>

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<見直し案>

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 回復期リハビリテーション病棟に関する見直し案では、次のように変更されている。

 分子: 有床診療所(介護サービスを提供している医療機関に限る)と介護療養病床の後継として作られる介護医療院とが新たに含まれる。

 分母: 現行では、除外項目としては、死亡退院・再入院患者のほかは、急性増悪等による他医療機関への転院患者しかなかった。なお、現行の図で転棟患者(自院)が含まれるようになっているが、間違いである。一方、見直し案では一般病棟への転棟・転院が全て含まれる。

 上記要件の変更により、分母から除外される項目が増え、結果として、在宅復帰率は上げやすくなる。特に一般病棟を持つ医療機関にとってはメリットが多い。

 

 では、実際にどの程度の在宅復帰率が設定されるのかが問題となる。

 2018年1月26日に行われた中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省の議事次第の中にある(6)回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入の影響、維持期リハビリテーションの介護保険への移行状況等を含むリハビリテーションの実施状況調査報告書(PDF:1,310KB)を見ると、次のような数値が紹介されている。

 

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 回復期リハビリテーション病棟入院料1では、平均値・中央値とも80%を超えており、入院料2も同様である。これらのことを考慮すると、新入院料1・2は70%→80%への引き上げがほぼ確実ではないかと予想する。新入院料3・4も、60%→70%となるのではないかと推測する。

 

# 実績指数の見直し

 2017年10月25日に行われた中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省の資料の中に、個別事項(その5)について(PDF:2,048KB)がある。本資料の中に、実績指数の分布図がある。

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 また、(6)回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入の影響、維持期リハビリテーションの介護保険への移行状況等を含むリハビリテーションの実施状況調査報告書(PDF:1,310KB)の方を見ると、次のような数値が紹介されている。

 

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 以上を見ると、回復期リハビリテーション病棟入院料1の実績指数は、平均値。中央値とも35を超えている。これらのことを考慮すると、実績指数は現行の27より大幅に引き上げられ、35ないし36程度になるのではないかと推測する。

 

 いずれにしろ、現在、回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定している医療機関は、新しい基準に基づき在宅復帰率を算定し直すとともに、実績指数をより高めにするために様々な工夫をすることが迫られることになる。