平成30年診療報酬改定について(諮問)

 本日行われた中医協で、平成30年診療報酬改定について(諮問)が明らかになった。資料は下記にある。

www.mhlw.go.jp

 

 諮問そのものに対してではなく、平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)について、意見の募集が行われる。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000190887.pdf

 

 平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)を読むと、今回の改定の全体像がおぼろげながらわかる。このなかで、回復期リハビリテーション病棟を中心に、私が関心のある部分を抜き出してみた。

 

I 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進

I-1 地域包括ケアシステム構築のための取組の強化

(1) 略

(2)  在宅復帰に係る指標について、以下のような見直しを行う。
1) 一般病棟入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料における在宅復帰率について、自宅等への退院支援機能を評価する観点や病棟毎の機能を踏まえつつ、名称変更も含めて見直す。

2) 療養病棟入院基本料の在宅復帰機能強化加算については、在宅復帰の機能をより推進する観点から、基準値を含め評価を見直す。

 

I-3 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価

(1)〜(11) 略

(12) 回復期リハビリテーション病棟入院料について、入院医療の評価体系の再編・統合の方向性を踏まえ、以下のような見直しを行う。

1) リハビリテーションの提供による日常生活動作の改善(実績指数)等に応じた評価を一層推進する。
2) 実績指数の高い入院料について、栄養状態の評価や栄養管理に係る取組を要件とするとともに、入院栄養食事指導料の算定を可能とする。
3) 回復期リハビリテーション病棟専従のリハビリテーション専門職について、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。
(13) 10 対 1 入院基本料を算定する全ての医療機関や、一部の回復期リハビリテーション病棟入院料や療養病棟入院基本料を算定する医療機関についても、データ提出加算の算定を入院料の要件とする。そのため、現行の回復期リハビリテーション病棟入院料における重症度、医療・看護必要度に係る要件について、合理化の観点も含め整理する。また、未コード化傷病名等データの質についての評価を行う。

 

I-7 リハビリテーションにおける医療と介護の連携の推進

(1)  疾患別リハビリテーションについて、末梢神経損傷等の患者や回復期リハビリテーション病棟から退棟後3ヶ月以内の患者等を算定日数上限の除外対象に追加する。

(2)  回復期リハビリテーション病棟専従のリハビリテーション専門職について、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。(I-3 (12) 3) 再掲)
(3) 要介護被保険者等に対する維持期・生活期のリハビリテーションに係る疾患別リハビリテーション料を見直すとともに、算定が可能な期間を平成30年度末までとする。
(4)  維持期・生活期のリハビリテーションについて、介護のリハビリテーションとの併用に係る施設や人員の要件を緩和する。
(5)  医療機関介護保険リハビリテーション事業所で、リハビリテーション実施計画書を共有化できるよう、様式を見直すとともに、介護保険リハビリテーションに移行する患者について、医療機関介護保険リハビリテーション事業所にリハビリテーション実施計画書を提供した場合の評価を新設する。

 

II 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・ 充実

 II-1-7 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進

(1)〜(4) 略

(5) 脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者について、舌悪性腫瘍による舌切除等の後天的な器質変化に起因する音声・構音障害を有する患者を追加する。

 

II-3 データの収集・利活用及びアウトカムに着目した評価の推進

(1)  回復期リハビリテーション病棟入院料について、リハビリテーションの提供による日常生活動作の改善(実績指数)等に応じた評価を一層推進する。 (I-3 (12) 1)再掲)

 

III 医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進

III-1 チーム医療等の推進(業務の共同化、移管等)等の勤務環境の改善

(1)〜(5) 略

(6) 1) 略

2) 回復期リハビリテーション病棟専従のリハビリテーション専門職について、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。(I-3 (12) 3) 再掲)

 

III-2 業務の効率化・合理化

(1) 業務の効率化・合理化の観点から、以下のような見直しを行う。

1) 略

2) 医療機関介護保険リハビリテーション事業所で、リハビリテーション実施計画書を共有化できるよう、様式を見直す。(I-7 (5) 再掲)

 

IV 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化

IV-3 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価(再掲)

(1)〜(11) 略

(12) 回復期リハビリテーション病棟入院料について、入院医療の評価体系の 再編・統合の方向性を踏まえ、以下のような見直しを行う。
1) リハビリテーションの提供による日常生活動作の改善(実績指数)等に応 じた評価を一層推進する。
2) 実績指数の高い入院料について、栄養状態の評価や栄養管理に係る取組 を要件とするとともに、入院栄養食事指導料の算定を可能とする。
3) 回復期リハビリテーション 病棟専従のリハビリテーション専門職について、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。

 

 再掲という形で、同じ内容が繰り返し出されている。重複を避け、回復期リハビリテーション病棟などに関わる改定をごく簡単にまとめると、次のようになる。なお、見直すと記載されている場合には通常要件が厳しくなるので、( )内に言い換えた内容を記す。

 具体的内容を見ないとなんとも言えないが、回復期リハビリテーション病棟入院料1の要件は、間違いなく厳しくなる。また、維持期・生活期リハビリテーション医療保険で続けることは困難となり、介護保険リハビリテーションを行うように誘導される。
 一方、専従療法士が外来で退棟患者のフォローができるようになるなどの要件が緩和されたものもある。
 いずれにせよ、入院基本料の大規模な再編やDPC要件変更が計画されていることを考えると、まだ、リハビリテーション医療に関する診療報酬改定は対応可能なレベルではないかと推測する。今後、どのような情報が出てくるか注意して見ていきたい。