排尿自立指導料に係る研修

 2016年3月4日、平成28年度診療報酬改定についてが更新され、告示・省令、通知が示された。膨大な資料のなかで重要と思われるものは、平成28年度診療報酬改定説明会(平成28年3月4日開催)資料等について内にある、平成28年度診療報酬改定説明(医科) III-1 通知その02III-1 通知その05、そして、III-1 通知その06である。
 また、疑義解釈資料の送付について(その1)平成28年3月31日も出ている。
 今回は、排尿自立指導料について検討する。


 施設要件は次のとおりである。

第11の3の3 排尿自立指導料
1 排尿自立指導料の施設基準
(1) 保険医療機関内に、以下から構成される排尿ケアに係るチーム(以下「排尿ケアチーム」 という。)が設置されていること。
 ア 下部尿路機能障害を有する患者の診療について経験を有する医師(他の保険医療機関を主たる勤務先とする泌尿器科の医師が対診等により当該チームに参画してもよい。)
 イ 下部尿路機能障害を有する患者の看護に従事した経験を3年以上有し、所定の研修を修了した専任の常勤看護師
 ウ 下部尿路機能障害を有する患者のリハビリテーション等の経験を有する専任の常勤理学療法士
(2) (1)のアに掲げる医師は、3年以上の勤務経験を有する泌尿器科の医師又は排尿ケアに係る適切な研修を修了した者であること。なお、ここでいう適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。
 ア 国及び医療関係団体等が主催する研修であること。
 イ 下部尿路機能障害の病態、診断、治療、予防及びケアの内容が含まれるものであること。
 ウ 通算して6時間以上のものであること。
(3)  (1)のイに掲げる所定の研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。
 ア 国及び医療関係団体等が主催する研修であること。
 イ 下部尿路機能障害の病態生理、その治療と予防、評価方法、排尿ケア及び事例分析の内容が含まれるものであること。
 ウ 排尿日誌による評価、エコーを用いた残尿測定、排泄用具の使用、骨盤底筋訓練及び自己導尿に関する指導を含む内容であり、下部尿路機能障害患者の排尿自立支援について十分な知識及び経験のある医師及び看護師が行う演習が含まれるものであること。
 エ 通算して16時間以上のものであること。
(4) 排尿ケアチームは、対象となる患者抽出のためのスクリーニング及び下部尿路機能評価の ための情報収集(排尿日誌、残尿測定)等の排尿ケアに関するマニュアルを作成し、当該保険医療機関内に配布するとともに、院内研修を実施すること。
(5) 包括的排尿ケアの計画及び実施に当たっては、下部尿路機能の評価、治療及び排尿ケアに関するガイドライン等を遵守すること。
2 届出に関する事項 当該指導料の施設基準に係る届出は、別添2の様式13の4を用いること。


 疑義解釈資料の送付について(その1)平成28年3月31日の問97には、次のような記載がある。

(問97) 区分番号「B005-9」排尿自立指導料の医師及び看護師の要件である研修の内容が施設基準通知に示されているが、具体的にはどのような研修があるのか。

(答) 現時点では、以下のいずれかの研修である。 医師については、日本慢性期医療協会「排尿機能回復のための治療とケア講座」、看護師については、
1  日本看護協会認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」の研修
2  日本創傷・オストミー・失禁管理学会、日本老年泌尿器科学会、日本排尿機能学会「下部尿路症状の排尿ケア講習会」
3  日本慢性期医療協会「排尿機能回復のための治療とケア講座」
 なお、特定非営利活動法人日本コンチネンス協会が行っている「コンチネンス中級セミナー」及び認定特定非営利法人愛知排泄ケア研究会が行っている「排泄機能指導士養成講座」は、排尿自立指導料にある 所定の研修の内容としては不十分であり、所定の研修とは認められないが、「コンチネンス中級セミナー」と併せて、「コンチネンス中級セ ミナー追加研修」を修了した場合又は「排泄機能指導士養成講座」と併せて「下部尿路機能障害の排尿自立支援指導講習」を修了した場合 には、必要な研修内容を満たすものとなるため、排尿自立指導料にある所定の研修とみなすことができる。


 医師及び看護師に関する研修として、日本慢性期医療協会 - [研修会・シンポジウム]内に、「排尿機能回復のための治療とケア講座」(2016年5月16日(月)〜5月18日(水))開催案内がある。当面、医師に係る研修はここしかない。5月16日(月)1日だけの参加となっている。締切は4月8日(金)と迫っており、明日、明後日中には判断を下す必要がある。
 看護師に関しては、第4回下部尿路症状の排尿ケア講習会もあるが、いずれかの学会会員である必要があり、利用しにくい。
 理学療法士だけは、「下部尿路機能障害を有する患者のリハビリテーション等の経験を有する」という条件だけで済んでいる。
 リハビリテーション対象者には、下部尿路機能障害対象者が少なくない。回復期リハビリテーション病棟転院時に尿道カテーテル留置されている者に対し、チームアプローチをすると、排尿自立指導料が週1回算定できる。リハビリテーション医療の重要な領域と認識し、算定を目指すべきと考える。(以下、追加)ただし、残念ながら、回復期リハビリテーション病棟でも、地域包括ケア病棟でも算定できないことがわかった。なお、一般病棟入院基本料は算定可能であることを確認済みであり、当院では、一般病床の患者のみを対象とすることにした。


<追記> 2016年5月18日
1. タイトル、本文の中で、排尿自立支援料と記載していたが、排尿自立指導料の間違いだったため、修正した。
2. 回復期リハビリテーション病棟では排尿自立指導料が算定できないことがわかったため、削除した。回復期リハビリテーション病棟入院料の注4を見ると、次のように記載されている。包括される「診療に係る費用」の除外要件に排尿自立指導料は含まれていない。同様に、地域包括ケア病棟入院料の注6にも同様の規定がある。診療事務に指摘されるまで、全く気づかなかった。

 注4: 診療に係る費用(注2、注3及び注5に規定する加算、当該患者に対して行った第2章第2部在宅医療、第7部リハビリテーションの費用(別に厚生労働大臣が定める費用を除く。)、第2節に規定する臨床研修病院入院診療加算、医師事務作業補助体制加算(一般病棟に限る。)、地域加算、離島加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、データ提出加算、退院支援加算(1のイに限る。)、認知症ケア加算、薬剤総合評価調整加算、区分番号J038に掲げる人工腎臓並びに除外薬剤・注射薬の費用を除く。)は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれるものとする。