廃用症候群リハビリテーション料の新設

 中央社会保険医療協議会 総会(第328回)、平成28年2月10日が開催され、平成28年度診療報酬改定の概要が明らかになった。答申について、総−1(PDF:3,645KB)に個別改定項目が記載されている。「II-3 質の高いリハビリテーションの評価等、患者の早期の機能回復の推進について」(169〜197ページ)が、リハビリテーション関連項目である。
 この中で、「廃用症候群リハビリテーション料の新設」(180〜181ページ)について検討する。

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第1 基本的な考え方
 廃用症候群の特性に応じたリハビリテーションを実施するため、廃用症候群に対するリハビリテーションの費用を新たな疾患別リハビリテー ション料として設ける。


第2 具体的な内容
 廃用症候群に対するリハビリテーション料(I)、(II)及び(III)を新たな疾患別リハビリテーション料として設ける。

(新)廃用症候群リハビリテーション
 1 廃用症候群リハビリテーション料(I)(1単位) 180 点
 2 廃用症候群リハビリテーション料(II)(1単位) 146 点
 3 廃用症候群リハビリテーション料(III)(1単位) 77 点


[算定要件]
 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める患者(※) に対して個別療法であるリハビリテーションを行った場合に、廃用症候群の 診断又は急性増悪から 120 日以内に限り所定の点数を算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める患者について、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合その他の別に厚生労働大臣が定める場合には、120 日を超えて所定点数を算定することができる。
(※)急性疾患等(治療の有無を問わない。)に伴う安静による廃用症候群であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び 日常生活能力の低下を来しているもの


[施設基準]
 (1) 廃用症候群リハビリテーション料(I)(II)(III)につき、それぞれ脳血管疾患等リハビリテーション料(I)(II)(III)と同様。


 以下、略


 今回の診療報酬改定にて、廃用症候群リハビリテーション料が独立した。算定日数上限が180日から120日に短縮された以外、点数も施設基準も全く変化がない。
 ただし、関連エントリーでも紹介した中医協の議論では、次のような論点が提起されている。「廃用症候群の患者であって、主として廃用症候群による障害に対してリハビリテーションを実施するものと認められる場合、他の疾患別リハビリテーション料等の対象者かどうかにかかわらず廃用症候群リハビリテーションの対象としてはどうか。」前回2014年度診療報酬改定では、心大血管疾患リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、障害児(者)リハビリテーション料、がん患者リハビリテーション料の対象とならない理由を、廃用症候群に係る評価表に記載する必要があった。今回の改定で、この廃用症候群に係る評価表が廃止されるかどうかは明記されていない。今後の通知を待つしかないが、おそらくなくなるのではないかと予想する。