要介護要因のなかで脳血管障害の割合が2割を切る

 2014年7月15日、平成25年 国民生活基礎調査の概況が公表された。本調査では、3年に1回、要介護者の状況が報告される。この間、一環して要介護要因の第1位は脳血管障害だったが、ついにその割合が2割を切った。


関連エントリー


 国民生活基礎調査|厚生労働省の中にある平成25年、22年、19年、16年、そして、13年のデータを用いて、介護が必要となった主な原因の構成割合を作成してみると、下表のようになる。


 脳血管障害、認知症、骨折・転倒、関節疾患、高齢による衰弱が10%を超えているのに対し、その他の要因はいずれも5%以下にとどまっている。今後の介護予防対策を図るうえで、この5大要因の重要性は全く変わっていない。
 要介護5大要因中、脳血管障害の割合は一貫して低下している。2013年には18.5%とついに2割を切り、12年前の2001年と比し9.2%の大幅減となった。第2位認知症との差はわずかに2.7%である。このペースでいくと、次回2016年調査では両者の逆転もありうる。
 骨折・転倒と関節疾患は10%強で大きな変化はない。両者を合計すると22.7%となり、ついに脳血管障害を超えてしまった。このような状況をふまえ、公益社団法人 日本整形外科学会のキャンペーンが行われている。
 高齢による衰弱は13%台で大きな変化はない。なお、2001年、2004年には16%台だったが、認知症に関する認識の高まりとともに一部が認知症と診断されるようになったため、その割合が減少したのではないかと考えられる。


 要介護度別の構成割合をみると、5大要因の特徴がみえてくる。


 脳血管障害は、要介護3以上の重度者のなかでの割合が高い。認知症も、要介護1以上で割合が高い。一方、骨折・転倒、関節疾患、高齢による衰弱は軽度者の方で比率が高い。他の要因でみると、心疾患は軽度群に多く、パーキンソン病は最重度群に多い傾向がある。


 脳血管障害の割合低下に関して、最も関係しているのは要介護者の年齢構成変化である。


 上図をみると、要介護者は次第に高齢層にシフトしていることがわかる。生活習慣病予防が進み、若年で脳血管障害になる者が減った一方、高齢で要介護の原因となる認知症の割合が増えたことが両者の構成比が接近した原因であると私は推測している。


 高齢化進行とともに、要介護者数も急増する。要介護となる主要要因をみると、何らかの形でリハビリテーション医療が関わらざるをえないものばかりである。介護予防対策の最前線にリハビリテーション関係者は立っている。