地域包括ケア入院医療管理料算定病床ではリハビリテーション医療過少となる恐れ

 医療機関の機能分化・強化と連携が進められるなかで、中小病院は自らの役割をより鮮明にする必要がある。許可病床200床未満の病院では、急性期を担う一般病棟のなかに地域包括ケア入院医療管理料算定病床を設置するところが増えることが予想される。この場合、地域包括ケア入院医療管理料算定病床ではリハビリテーション医療過少となる恐れがある。

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 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)については、平成26年度診療報酬改定説明会(平成26年3月5日開催)資料等についてにある平成26年度診療報酬改定説明(医科・本体) の38〜39ページ、および、平成26年度診療報酬改定関係資料 III-1 通知 の82〜84、790〜793、1,048〜1,052/1,573ページにある。今回は、リハビリテーションに関する要件のみを抜粋する。


 疾患別リハビリテーション料が包括されているにも関わらず、リハビリテーションを提供した場合には、1日平均2単位以上提供しなければならないという規定が問題となる。


 上記に示した、様式50の3 地域包括ケア病棟入院料等のリハビリテーションの基準に係る届出添付書類(通知 1,052/1,573ページ)をみるとわかるが、入院延べ日数に対する割合であり、休日等を含め1日2単位以上実施するためには、平日は3単位程度は行なう必要がある。
 「地域包括ケア入院医療管理料を算定する場合に限り、当該理学療法士等は、当該病室を有する病棟におけるADL維持向上等体制加算に係る専従者と兼務することはできる」という規定は重要である。前エントリーでも述べたが、おそらくADL維持向上等体制加算の専従療法士は、同加算を算定しない患者に対しては、疾患別リハビリテーション料等を請求できると予想する。この場合、専従療法士は、もっぱら一般病棟の疾患別リハビリテーション料等を算定できる患者対応を行い、地域包括ケア病棟患者へのサービスはしないことになりかねない。また、摂食機能療法が包括対象から外れるという規定を利用して、言語聴覚士を専従配置して摂食機能療法のみを実施するという対策も思いつく。この場合、理学療法作業療法が実施されない恐れがある。
 いずれにせよ、実施してもしなくても、包括対象のため診療報酬上メリットがないとなれば、経営面では行なわない方が良いということになる。むしろ、1日2単位以上という規定が足かせとなる。中途半端に実施すると量をこなさないといけない。このため、維持目的でリハビリテーションを施行した方が良い患者でも、実施しない方向にインセンティブは働く。週数単位だけサービスで実施する程度にとどめ、届出書類に記載しないという形で対応するところは、良心的であるとさえ言える。
 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)は、リハビリテーション医療の位置づけの曖昧さのために、リハビリテーションを行なわない病棟(病床)として運用されかねない危険な診療報酬であるという解釈を私はしている。