永平寺におけるバリアフリー

 夏期休暇をとり、石川・福井観光に行った際、永平寺に立ち寄った*1。修行のための道場という性格もあり、永平寺の伽藍は急な斜面に建てられており、障害者や高齢者は参拝しにくい構造ではあるが、様々なバリアフリーの工夫がなされていた。

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 正門を抜け、参道を進むと、境内の案内図がある。赤字で示されている山門・仏殿・法堂・僧堂・大庫院・浴室・東司が、いわゆる七堂伽藍である。参拝をする者は、まず通用門で拝観料を払い、吉祥閣で受付をする必要がある。



 通用門である。ご覧のとおり、いきなり急な階段がある。しかし、通用門の向かって左側に車椅子用のスロープがあることにすぐに気がつく。





 吉祥閣は、昭和46年(1971年)に完成した比較的新しい建物であり、一般信徒の研修道場などの役割がある。エレベーターがあり、段差も少なく、車椅子利用者はこの吉祥閣までは間違いなくたどり着くことができる。



 吉祥閣の隣に、傘松閣がある。上の写真の向かって左側にある建物である。1994年に改築されたものであり、参拝者の控え室などがある。一方、写真の正面にあるのは祀堂殿であり、一般信者の納骨や法要が行われる。



 別角度から見た祀堂殿である。左手にあるのは報恩塔である。



 傘松閣にある絵天井の間である。昭和5年(1930年)当時の著名画家たちによる色彩画が並べられている。




 祀堂殿までは、車椅子用スロープが設置されている。エレベーターもある。吉祥閣→傘松閣→祀堂殿においてもバリアが解消されている。




 階段を昇って山門に向かう途中に車椅子マークに気づく。中を覗いてみると、車椅子用通路があることに気づく。吉祥閣ないし傘松閣のエレベーターを利用すると、ここに到達するようだ。



 ここから山門までは段差が全くない。




 山門から中雀門、大庫院をみると、緑鮮やかな境内が広がる。





 山門中央には、吉祥の額が掲げられており、その脇に聯が下がっている。両脇には四天王像が控えている。
 永平寺×バリアフリーで検索してみると、この山門までたどり着いたという記述を確認できる。ただし、ルートが複雑であり、事前に永平寺へ連絡し、案内と介助を頼む必要がある。



 山門から先は、ご覧のような階段が立ちはだかる。てすりこそあるものの、足腰が不自由な者は、仏殿・法堂・僧堂・大庫院まで行き着くことはあきらめるしかない。



 山門。



 中雀門から山門を望む。



 仏殿。



 僧堂。





 大庫院と大すりこぎ。



 承陽殿(開祖道元の御真廟)。



 法堂。


 永平寺内を巡ってみて、バリアフリーに関していくつか理解に困る設備があった。




 上が僧堂から中雀門を通り大庫院へ抜けるところにあるスロープ、下が山門から大庫院下の階段まで出るところにあるスロープである。一段目にあたる山門と二段目になる僧堂・中雀門・大庫院の間をどのように車椅子で移動するのかが分からなかった。吉祥閣から回るルートがあるのか、大庫院の裏手から入る路があるのかと思った。四段目にあたる法堂のところに車椅子トイレがあったことも不思議である。もしかしたら、ある限られた条件で人力で階段を昇ることを想定しているのかもしれない。