リハビリテーション専門職養成施設急増に伴う供給過剰の懸念

 社会保障統計年報データベース|国立社会保障・人口問題研究所は資料が豊富である。この中の第3部第12節 第323表 理学療法士及び作業療法士数(登録者数)をもとにグラフを作ってみた。

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 PT数推移は、公益社団法人 日本理学療法士協会にもある。国家試験合格総計は、平成12年26,921名から平成24年100,560名と約4倍増となっている。この数字は社会保障統計年報データベースの値とほぼ同じである。
 OT数推移は、作業療法白書2010の16ページにある。2000年の14,880名から2010年53,080名と約3倍となっている。この数字も社会保障統計年報データベースとほぼ同じである。
 ST数推移は、社会保障統計年報データベースにはないが、一般の方ご本人とご家族の方 | 日本言語聴覚士協会 会員ページにデータが載っている。1999年の4,003名から2011年は18,960名と4.7倍となっている。


 2000年の柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件以後、国は、医療関係専門学校、大学の厳しい設置基準を改め、届出制とした。この結果、リハビリテーション専門職養成施設が急増した。渡部一郎*1によると、PT,OTとも20年(1989年比)で10倍以上に養成校数定員が増加した。PT養成校4学年で5万人以上の在校生が待機している計算となり,現状では,明らかに供給過剰と言える。事後規制と競争原理による淘汰という政策の悪影響が懸念される。2025年までは、団塊の世代の高齢化に伴いリハビリテーションニーズは増大するが、それ以降は需要と供給のバランスが崩れる可能性が高い。養成施設廃校、リハビリテーション料切り下げも起こりうるという多難な時代を迎えている。

*1:渡部一郎:PT,OT,STの需給の現状と見通し:総合リハ・38 巻 2 号・188〜189、2010