亜急性期入院医療管理料2と回復期リハビリテーション病棟入院料1ほぼ同基準に

 中央社会保険医療協議会 総会 (第221回) 平成24年2月10日(金)より、亜急性期入院医療管理料見直しの話題をとりあげる。亜急性期入院医療管理料については、資料(総−1)(PDF:1331KB)の215〜217ページに次のような記載がある。

第2 具体的な内容
 亜急性期入院医療管理料を算定している患者のうち、回復期リハビリテーションを要する患者については包括範囲を含め、回復期リハビリテーション病棟入院料と同等の評価体系に改める。


【亜急性期入院医療管理料】(1日につき)
1.亜急性期入院医療管理料1 2,050点(改)
2.亜急性期入院医療管理料2 1,900点(新)


[算定要件]
1. 亜急性期入院医療管理料1
1)60日を限度として一般病棟の病室単位で算定する。
2) 脳血管疾患等リハビリテーション料又は運動器リハビリテーション料を算定したことがない患者について算定する。
2 .亜急性期入院医療管理料2
1)60日を限度として一般病棟の病室単位で算定する。
2) 脳血管疾患等リハビリテーション料又は運動器リハビリテーション料を算定したことがある患者について算定する。


[施設基準]
1 .亜急性期入院医療管理料1
1)届出可能病床は亜急性期入院医療管理料1と2をあわせて一般病床数の3割以下。ただし、200床以上の病院は病床数にかかわらず最大40床まで、100床以下の病院は病床数にかかわらず最大30床まで届出可能。
2)看護職員配置が常時13対1以上。
3)診療録管理体制加算を算定していること。
4)専任の在宅復帰支援者が勤務していること。
5)在宅復帰率が6割以上であること。
2. 亜急性期入院医療管理料2
(亜急性期入院医療管理料1と同条件であるため、省略)


  別紙1−1(医科診療報酬点数表)(PDF:1879KB)の医科-入院料等-70/89〜73/89ページには、次のような記載がある。

【亜急性期入院医療管理料】(1日につき)
1.亜急性期入院医療管理料1 2,061点
2.亜急性期入院医療管理料2 1,911


 この+11点分は、回復期リハビリテーション病棟入院料と全く同じである。資料(総−1)(PDF:1331KB)の203〜205ページに次のような説明がある分に相当する。

 栄養管理実施加算、褥瘡患者管理加算について、入院基本料、特定入院料で包括して評価することから、入院基本料、特定入院料の評価をそれぞれ 11 点ずつ引き上げる。


 注目すべきは、包括範囲に関する次の記載である。亜急性期入院医療管理料1と比べ同2の包括除外対象が制限されている。

注4 診療に係る費用(第2節に規定する臨床研修病院入院診療加算、医師事務作業補助体制加算、地域加算、離島加算、精神科リエゾンチーム加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、救急搬送患者地域連携受入加算及び総合評価加算、第2章第1部医学管理等、第2部在宅医療、 第7部リハビリテーション、第8部精神科専門療法、第9部処置(所定点数(第1節に掲げるものに限る。)が1,000点を超えるものに限る。)、第10部手術、第11部麻酔並びに第12部放射線治療に係る費用並びに除外薬剤・注射薬の費用を除く。)は、亜急性期入院医療管理料1に含まれるものとする。


注5 診療に係る費用(注3に規定する加算、第2節に規定する臨床研修病院入院診療加算、医師事務作業補助体制加算、地域加算、離島加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算 、患者サポート体制充実加算及び救急搬送患者地域連携受入加算、区分番号B005-3に掲げる地域連携診療計画退院時指導料(I)、 第2章第2部在宅医療、第7部リハビリテーション、区分番号J038に掲げる人工腎臓並びに除外薬剤・注射薬の費用を除く。)は 、亜急性期入院医療管理料2に含まれるものとする。


 亜急性期入院医療管理料に関する診療報酬改定は、次のようにまとめられる。

  • (旧)亜急性期入院医療管理料2を特徴づけていた要件、特に「治療開始日より3週間以内に7対1入院基本料、10対1入院基本料等算定病床から転床又は転院してきた患者が2/3以上であること。」という規定が削除され、実質的に(旧)亜急性期入院医療管理料2は廃止された。
  • (旧)亜急性期入院医療管理料1が、脳血管疾患等リハビリテーション料又は運動器リハビリテーション料算定歴によって、(新)亜急性期入院医療管理料1と同2に分けられた。
  • (新)亜急性期入院医療管理料2の点数は、(新)回復期リハビリテーション病棟入院料1と全く同じ1,900点まで削減された。包括範囲も回復期リハビリテーション病棟入院料とほぼ同じになった。
  • 入院期限が90日から60日に短縮した。
  • ベッド数要件が一般病床の3割までなどと緩和された。


 最後のベッド数要件に関しては疑問が残っている。199床の一般病床を持つ場合には約60床まで認められ、200床を超えたとたんに40床までと制限されるのは、矛盾がある。いずれ、Q & Aで整合性をとるのではないかと予想する。


 (新)亜急性期入院医療管理料2と(新)回復期リハビリテーション病棟入院料の基準を比べてみると、下記相違点はあるが、ほぼ両者は同一の診療報酬体系になったといえる。

  • 入室までの期限は、回復期にはあるが、亜急性期にはない。
  • 入院期限は、回復期の方が長い。
  • 加算要件は、回復期には重症患者回復病棟加算50点、休日リハビリテーション提供加算60点、リハビリテーション充実加算40点があり、亜急性期にはリハビリテーション提供加算50点がある。
  • 看護職員配置数は両者とも同じだが、看護補助者数規定がある分、回復期リハビリテーション病棟入院料の方が手厚い配置となっている。
  • 在宅復帰率要件は、回復期1では7割以上だが、亜急性期では6割以上となっている。両者の要件には違いがある。老健施設への退院は、回復期では在宅以外となるが、亜急性期では在宅扱いとなる。


 2011年11月25日 第208回中央社会保険医療協議会総会議事録を見ると、厚労省の鈴木医療課長は、次のような発言をしている。なお、説明資料は、中央社会保険医療協議会 総会 (第208回) 平成23年11月25日(金)、医療提供体制(その1:入院医療/高度急性期・一般急性期、亜急性期等、長期療養、有床診療所、地域特性)、資料(総−1)(PDF:10277KB)の65〜88ページにある。病棟単位の亜急性期病床は回復期リハへ(2011年11月28日)でも一度取り上げたので、そちらもご参照いただきたい。

  • 亜急性期は、急性期病床を含めて9割程度が自院から来ている。
  • 亜急性期の方は、むしろ筋骨格系の疾患が多い。
  • 回復期リハの方が亜急性期よりも悪い場合が多い。
  • リハビリテーションを実施した患者さんの割合ということで、回復期リハビリテーションではほぼ100%、亜急性期でも95%。
  • リハビリテーション実施の回数は、回復期リハビリテーションの方が倍ぐらい頻度が多い。
  • 今まで亜急性期の病室の評価と回復期リハビリテーションの病棟の評価というのは全く異なっておりましたけれども、基本的には、それを同じものとして、病室単位で認めるのが今で言う亜急性期、病棟単位で認めるのが今で言う回復期リハビリテーションということにして、例えば包括の範囲、出来高の範囲、支払いのレベルを統一させていただいてはどうだろうというふうに思っております。


 回りくどい話し方になっているが、要約すると次のようになる。
 亜急性期病床は、急性期の整形疾患の受け皿となっている。リハビリテーションをほぼ全員に行っているが頻度は少ない。それにしては点数は高い。回復期リハビリテーション病棟と同じような機能を病棟単位で持っているのなら、低い診療報酬に統一しても問題がないだろう。「放射線治療中などの理由により転棟することが困難と考えられる患者などやむを得ない場合」のみのため、これまでと同じ基準を残しておこう。
 整形疾患を中心として亜急性期病床を運用してきた病院は、今回の改定で経営的に大きな痛手を負うことになった。これまで上手に亜急性期病床を利用していた病院は、経営戦略の見直しを迫られることになる。