予防給付改定の論点

 第83回社会保障審議会介護給付費分科会資料 |厚生労働省を見ると、介護報酬改定に関する具体的な議論が開始されている。資料3予防給付について(PDF:510KB)を開くと、次のような論点が提起されている。

介護予防通所介護・介護予防通所リハビリテーションについて
論点1
 生活機能の向上に資するサービスが、利用者の状態に応じて効果的に提供できるよう、選択的サービス(※)のうち、複数のプログラムを組み合わせて実施する場合に、新たな評価を創設してはどうか。
※[現行]

    • 運動器機能向上加算 225単位/人月
    • 口腔機能向上加算 150単位/人月
    • 栄養改善加算 150単位/人月


[見直し案]
以下のように、評価の在り方を見直してはどうか。
1. 選択的サービスのうち、2種類を組み合わせて実施する場合や3種類全てを実施する場合のそれぞれについて、新たに評価してはどうか。
 (組合せ例 : 運動+口腔、口腔+栄養 等)
2. 算定が低調な口腔機能向上加算と栄養改善加算の算定要件を見直し、複数プログラムに取り組みやすくする。(要件の見直し:書類の簡素化等の事務負担の軽減)

(感想)口腔機能向上と栄養改善に対する取組みが強化されることになると予測する。妥当な改善案と判断する。

介護予防通所介護・介護予防通所リハビリテーションについて
論点2
 現在、事業所評価加算は、評価対象となる利用者の人数に関わらず、要支援状態区分が一定割合以上維持または改善すれば算定が可能であるが、より多くの利用者に自立支援に資するサービスを提供し、その成果を評価できるようにしてはどうか。


[見直し案]
通所サービスの利用実人数のうち、一定以上の割合の者に対し、選択的サービスを実施し、評価基準値を満たす場合を評価する。

(感想)
 選択的サービスを行わない場合には評価対象外だった。このため、維持・改善が可能と思われる少数の者しか選択的サービスを提供しない事業所が少数ながらあったことに対する対応である。

介護予防通所介護について
論点3
 アクティビティ実施加算を見直し、新たに、生活行為向上に資するプログラムを評価してはどうか。


[見直し案]
以下の観点から、評価の在り方を見直してはどうか。
1. アクティビティ実施加算(集団的に行われるレクリエーション等)は、ほとんどの介護予防通所介護において実施されており、定着していることから、加算という評価がなじまないのではないか。
2. 新たな評価として、日常生活に直結したメニューを複数用意し、個別評価に基づき、小集団で実施する生活行為向上プログラムを評価してはどうか。
(計画作成、複数プログラムの用意については、 通所介護の個別機能訓練加算IIに準ずる)

(感想)
 集団的に行っているレクリエーションではなく、料理など個別的に行われるメニューを評価することになる。

介護予防通所介護・介護予防通所リハビリテーションについて
通所介護・通所リハビリテーションサービスと同様の論点
論点4
 サービス提供事業所と同一建物に居住する利用者については、真に送迎が必要な場合を除き、送迎分の適正化を図ってはどうか。
論点5(通所介護のみ)
 事業者がより柔軟に事業を実施し、より効果的にサービスを提供できるよう、生活相談員と介護職員の人員基準を見直してはどうか。具体的には、1常勤換算方式を導入してピークタイムに手厚く配置するなど柔軟な人員配置を可能にするとともに、 2「単位毎」の配置から「事業所毎」の配置に見直し、複数単位を実施する場合に柔軟な取扱いを可能としてはどうか。

論点6
 通所介護及び通所リハビリテーションの基本サービスの適正化に伴い、介護予防通所介護及び介護予防通所リハビリテーションについても、基本サービス費を見直してはどうか。

(感想)
 通所介護及び通所リハビリテーションに連動する項目。

論点1
 介護予防訪問介護の基本サービス費について、サービスの提供の実態に即した見直しを行ってはどうか。

  • 利用者別、提供時間別のいずれにおいても、生活援助が9割以上を占める。
  • 制度導入前と比較して、90分以上の長時間のサービス利用者は、36.3%から23.5%に減少。
  • 要支援では、掃除以外の全ての項目で、要介護とほぼ同程度の時間でサービスが提供されている。

論点2
 自立支援型のサービス機能を強化するため、サービス提供責任者とリハビリテーション専門職との協働による訪問介護計画作成についての評価を創設してはどうか。
論点3
 訪問介護員2級課程修了者の任用要件を、段階的に廃止してはどうか。サービス提供責任者の質の向上を図るため、3年以上の実務経験を有する
論点4
 サービス提供責任者の主たる業務である訪問介護計画の作成に応じた適切な員数を配置するため、利用者数に応じた配置基準に見直してはどうか。

(感想)
 第82回社会保障審議会介護給付費分科会資料 |厚生労働省内にある、資料1−1訪問介護の基準・報酬について(PDF:1426KB)をみると、45分未満と45分以上に見直される予定となっている。連動して、介護予防訪問介護も長時間サービスが少なく、生活援助が多いということをふまえ、引き下げられる可能性が高い。
 なお、論点2〜4については、訪問看護の見直しと同じ、ということになっている。

介護予防訪問リハビリテーションについて
論点1
 訪問リハビリの医師の指示について、指示を出す医師の診察頻度を利用者の状態 像に併せて柔軟な対応を可能としてはどうか。
論点2
 介護老人保健施設を地域において在宅療養を支援する拠点として位置づけるため、 介護老人保健施設から提供される訪問リハビリテーションを見直してはどうか。
論点3
 リハビリ専門職と訪問介護のサービス担当責任者が同一時間帯に利用者宅を 訪問し、リハビリ専門職からサービス提供責任者へ指導等を行うことを評価しては どうか。
論点4
 訪問リハビリの地域差低減のため、サテライト型訪問リハビリ事業所の整備を検討してはどうか。

(感想)
 訪問リハビリテーションサービスと同じ論点。