中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会

 厚労省のホームページに、中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会 |厚生労働省がアップされた。議題は、医療と介護の同時改定に向けて(意見交換)とだけある。
 診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて、資料−1(PDF:2455KB)の3.論点、課題等には次の項目が並んでいる。

(1)医療・介護施設の機能分化と連携の推進
1)入・退院時における医療機関と介護サービス事業者との連携促進
 → 論点・課題
 入院中から、退院後の療養生活支援を視野に入れた
 1.入院診療計画や退院支援計画の策定、
 2.在宅医療を担う医療機関訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所との連携、
 などについて、どのように考えるか。
2)介護療養病床から介護療養型老人保健施設等への転換促進
 → 論点・課題
 療養病床再編成をより一層進めるために、介護報酬、診療報酬上どういっ た対応が考えられるか。
3)介護施設における医療提供のあり方
 → 論点・課題
 介護施設においては、その類型に応じて医療の提供体制が異なるが、施設入所者等の現状に応じて、医療提供のあり方についてどのように考えるか。


(2)在宅医療・介護の充実
1)訪問看護・リハビリ等の要介護者等の在宅生活における医療提供
 → 論点・課題
 在宅生活者に対する医療を強化するため、訪問看護、歯科治療、薬剤管理指導やリハビリテーションの提供のあり方について、どのように考えるか。
2)看取りへの対応
 → 論点・課題
 在宅や介護施設等における看取りの対応を強化するため、在宅療養支援診療所等を活用し、地域における24時間対応や緊急時の対応が可能な体制を構築するため、診療報酬、介護報酬上どういった対応が考えられるか。
3)認知症への対応
 → 論点・課題
 ○ 認知症への対応を強化するため、早期の診断から個別の診療、在宅復帰に至る過程において、医療と介護が連携した上で、適切なサービスを提供するために、どういった対応が考えられるか。
 ○ BPSD(周辺症状)への対応等、医療機関における認知症患者に対する医療についてどのように考えるか。
 ○ 認知症対応型共同生活介護や小規模多機能型居宅介護における医療提供のあり方についてどのように考えるか。


 診療報酬改定は2年に1回、介護報酬改定は3年に1回行われる。したがって、来年は6年に1回しか来ない診療報酬・介護報酬同時改定の年となる。前回2006年は、介護保険見直しが行われた。介護予防の重要性が強調されながら、要介護認定区分の変更に伴い、要支援1・2の区分支給限度額が引き下げられ、介護サービスが利用しにくくなった。リハビリテーション分野でも疾患別リハビリテーション料への移行とそれに伴う算定日数上限導入が行われ、維持期リハビリテーション介護保険で行うという方向性が打ち出された。しかし、介護分野でのリハビリテーション基盤整備の不十分な中での慢性期リハビリテーションの制限は強い批判を浴びた。リハビリテーション診療報酬改定を考える会(会長 多田富雄先生)が作られ、リハビリテーション医療の打ち切り制度撤廃運動が展開された。請願書名は、わずか1.5ヶ月で最終的に48万人もの数に達した。
 振り返ってみると、前回の同時改定は激震といえる内容だった。その目でみると、今回の同時改定の論点は穏やかなものに見える。政権交代後の民主党の迷走は目に余るが、少なくとも、医療・介護分野に関しては、自公政権時代よりははるかにましなものとなっている。社会保障費削減の圧力は明らかに弱まっている。
 リハビリテーション関係者の眼から見ると、外来リハビリテーション、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションの整合性がどのようにとられるのかが一番気になる。資料をざっと見てみたが、具体案はまだ提示されていない。水面下で既に動きがあり、落としどころを探っている段階だと推測する。中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会両者の議論の行方を注視していく必要がある。