補償交渉における東電の不誠実な姿勢

 東京電力という会社は、リスク管理が全くできていない。

 農民連によると、東電職員は宮城県で「牛肉問題は汚染された稲わらを与えた農家の責任」と発言したという。福島県では「(補償対象だという)証拠を示す責任がある」と次々に資料を提出させ、賠償金の仮払いで「津波による被害分は後で返してもらう」と話したという。
 賠償金の支払い自体も停滞。原発から約12キロの南相馬市でコメなどを栽培していた三浦広志さん(51)は「20キロ圏内の場合は賠償請求の書式さえ決まっていない」と批判。福島市の服部崇さん(40)も「7月中に示すはずだった風評被害の書式もまだだ」と憤った。
 東電福島原子力被災者支援対策本部の橘田昌哉部長は「被害者の心情を踏まえない言動で、事実ならば申し訳ない」と謝罪。「初めてのことなので時間がかかっている。資料確認の迅速化を図る」と述べた。

http://www.kahoku.co.jp/news/2011/08/20110804t65011.htm

 父の代から群馬でキノコ栽培をおこなってきました。キノコの栽培には施設内を18度程度に保つ必要があるため冷暖房など電気が欠かせず、毎月平均30万円の電気代がかかります。


 福島原発事故放射能問題でキノコがまったく売れなくなり、現在700万円以上の減収で、電気代が払えなくなってしまいました。


 東電は「風評被害だから損害請求は受け付けない」、「料金の支払いがない場合は電気の供給を止める」と通告してきました。その通告書には「供給停止によりいかなる損害が生じても当社は一切の責任を負いかねる」とも明記されていました。


 僕は、東電に対して「あなたたちが起こした原発事故のせいで、僕らの商品は売れなくなったのだから、電気の供給停止も猶予すべきだ」と訴えました。しかし、東電の職員は「出るとこ出たっていい。訴えるなら訴えてもらってかまわない」と居直ってきました。

加害者の東電が被害者を脅迫-原発事故の被害で電気代払えなくなった農家に電力供給停止を通告 | すくらむ


 東電の原発が事故を起こしたことは、今回が初めてではない。重大事故など起こるはずがないとたかをくくっていたことが今回の事態を招いた。
 そもそも、重大事故の予防と事故発生後の真摯な対応はリスク管理の基本中の基本。東電はどちらも低レベルである。
 考える限りの努力をして事故拡大の防止に努める。同時並行して、被害にあった者に対し、事実関係を調べ、補償に関する交渉を進めていく。そして、何よりも、同じような被害を起こさないために再発防止の取組みを真剣に進める。この一連の流れが実行できない事業体は、通常は存続不可能である。
 事故処理対応を見る限り、東電は何をしても自分はつぶれないと信じているようだ。一度、解体して出直すくらいでないと性根は改まらない。中国高速鉄道事故と全く同じ体質を露呈している。