津波の浸水範囲は平野部で顕著

 浸水範囲の土地利用|国土地理院が公表された。八戸から南相馬にわたる地域で津波がどこまで浸水したかが図示されている。青枠で囲まれているところが被災範囲だが、それよりも土地利用種別に色がついているので、カラーになっている部分が浸水範囲と考えると分かりやすい。
 全体図(PDF 5.1MB, A1判)を見ると、三陸沿岸の被害は大きかったが、リアス式海岸で山が海に迫っていることもあり、浸水範囲は狭い。一方、石巻から塩竈多賀城、仙台、名取、岩沼、亘理、山元、新地、相馬、南相馬に至る平野部が広範囲に被害を受けていることが分かる。
 浸水範囲の土地利用 図10(PDF 1.6MB)仙台市を中心とした図である。海岸線から5km前後まで浸水範囲が広がっている。若林区から岩沼市にかけて、土地利用種でいうと「建物用地・幹線交通用地」となっている赤色の帯が続いている。これは、仙台東部道路を示したものであると判断する。仙台東部道路は高架式ではなく土盛式の自動車専用道路である。この仙台東部道路が堤防の役割を果たし、津波の勢いを弱めたらしい。高速を使って移動した支援部隊の医師がそう述べていた。確かに、名取から岩沼にかけては、浸水範囲が赤色の帯でせき止められているように見えてくる。
 残念なことに、南相馬以南については情報が提供されていない。福島第一原子力発電所事故の影響で空中写真が撮れないことが原因ではないかと推測する。