宮城県二次医療圏におけるリハビリテーション医不足

 必要医師数実態調査 |厚生労働省のデータが更新された。

関連エントリー


 人口10万人あたりのデータをもとに、宮城県二次医療圏ごとのリハビリテーション科現員医師数と必要医師数を表にした。

二次医療圏 A 現員医師数 B 必要医師数 A+B
仙南    1.1 (0.6)   1.0 (0.5)   2.1 (1.1)
仙台   34.6 (2.4)   4.0 (0.3)   38.6 (2.7)
大崎    2.2 (1.0)   1.0 (0.5)   3.2 (1.5)
栗原    0.2 (0.3)   2.5 (3.2)   2.7 (3.5)
登米    0.0 (0.0)   1.0 (1.2)   1.0 (1.2)
石巻    1.7 (0.8)   3.0 (1.4)   4.7 (2.2)
気仙沼   0.0 (0.0)   0.0 (0.0)   0.0 (0.0)
宮城県  39.6 (1.7)  12.5 (0.5)   52.1 (2.2)
全国  1,750.1 (1.4) 499.2 (0.4) 2,249.3 (2.2)

 ( )内は人口10万人あたりの数。


 宮城県では、医師の仙台圏一極集中が生じている。他の診療科と比べてみても、リハビリテーション科ではその傾向は顕著である。大学の講座があること、回復期リハビリテーション病棟が多いことがその理由として推定される。
 診療圏ごとにみると、リハビリテーション科医の状況には差がある。人口10万人あたり必要医師数の方をみると、栗原圏(県北西部)、登米圏(県北東部)、石巻圏で需要が多い。現員医師数と必要医師数の合計でみると、仙台圏、栗原圏が全国平均を超えるリハビリテーション医師数を目指している。栗原圏にはリハビリテーション科専門医がおり、かつ、地域の中心となる病院がリハビリテーション部門に力を入れ始めている。石巻圏は、仙台圏についで回復期リハビリテーション病棟が多い。
 一方、気仙沼医療圏では、両者ともゼロと回答している。登米医療圏も需要が低い。両者ともリハビリテーション科専門医がおらず、回復期リハビリテーション病棟もない。県の調査でみても、両医療圏からリハビリテーション目的で仙台圏などに患者が流出している。仙台在住の家族を頼ってリハビリテーション目的で当院に転院している患者がいる。気仙沼医療圏は高速交通体系からはずれており、仙台に来るだけでも2時間かかる。仙台から東京の方がずっと近い。標準的なリハビリテーション医療を受けられずに、要介護状態になっている者が少なからずいるのではないかと危惧する。
 厚労省の必要医師数実態調査において、リハビリテーション科は最も医師が不足していると認定された。しかし、この調査は病院に対するものである。宮城県の現状を調べてみても、地域の潜在的需要を反映していないことがわかる。もともと少ないリハビリテーション科は、必要性が理解されにくい。リハビリテーション科医の不足はより深刻であると考えざるをえない。