芝生化運動、鳥取方式と塩釜方式

 全国で芝生化運動が進む中で、鳥取方式と塩釜方式という2つの方法が注目されている。


 鳥取方式については、greensport鳥取に詳しく記載されている。

校庭や近所の公園などの広場(プレイグラウンド)には、ゴルフ場や競技場のように隅々まで手入れされた高度な芝生は必要ではないと考えており、年間維持管理経費が㎡あたり20円〜100円程度の芝生を導入することを提案しています。


 ポット苗、ロール芝など様々な手法が紹介されている。紹介されている芝生化実績をみると、2003〜2009年に全国614ヶ所で鳥取方式が用いられている。ちなみに、野球部保護者による芝生はがしの舞台となった大阪府春木中学校は、ポット苗方式で行われているが、かかった費用からすると鳥取方式で行われている可能性が高い。*1


 一方、塩釜方式は塩釜FCというサッカーチームが生み出した方法である。

 仙台大学柴田町)の角田市にある第2グラウンドに、簡易な栽培方法を使った天然芝が敷き詰められた。ラグビーアメリカンフットボールの両部が、実戦と同じ環境で練習ができるようになった。教員やスポーツ指導者を目指す学生には来年度から、芝の管理を講義し、栽培技術を身につけることで厳しい就職活動にも役立たせたいという。


 芝の栽培は、塩釜市の塩釜フットボールクラブが開発した「塩釜方式」を採用した。グラウンドの土を掘り返した上で堆肥(たいひ)を混ぜ、芝の種をまいて生育させる手法。かかる費用は従来の手法の数分の一で済むという。


(中略)


 同大では以前、サッカー場を人工芝化した時は整地を含め約7千万円かかったが、今回、約7千平方メートルのグラウンドを芝生化するのに約1千万円で済んだという。

asahi.com(朝日新聞社):天然芝、学生自ら育て一挙両得 実戦感覚と栽培技術養う - スポーツ


 芝も植物である。耕し種を蒔けば成長するという理論である。農業県である宮城県らしい発想である。芝の見栄えが悪いが、練習場として使う分には問題がない。鳥取方式は、鳥取県の肝いりで進められており、商標化もされている。塩釜方式は全国展開が遅れている印象がある。おっとりとした県民性が原因かもしれない。


 鳥取方式、塩釜方式、いずれも低コストの芝生化を実現し、手の届くものとした。幼稚園・保育園、小学校、運動施設などを中心に、今後も芝生化が進むことを期待する。