人口動態統計死因順位で老衰が躍進

 厚生労働省:平成21年人口動態統計(確定数)の概況が、9月2日に公表された。第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合にて平成21年と20年の死因順位をみると、第1位悪性新生物、第2位心疾患、第3位脳血管疾患、第4位肺炎は同じであるが、第5位に老衰が入り、第6位不慮の事故死と入れ替わっている。
 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001066473#により詳細な資料がある。表番号5-11「年次別にみた死因順位」を基に過去15年間のデータを抜き出してみた。



 老衰の人口10万人あたりの死亡率をみると、2004年まで20未満だった。しかし、その後次第に増加し、2009年には30.7と約1.5倍となっている。不慮の事故、自殺がほぼ横ばいだったこともあり、2007年の第7位から2年間で第5位に躍進している。上位4疾患でみると、脳血管疾患が横ばいから微減であるのに対し、他の3疾患が伸びている。肺炎と脳血管疾患の差はわずかであり、逆転もありうる。
 医学の進歩につれ、原因不明死としての老衰が着実に減ってきた。今よりずっと平均寿命が短かった20世紀初頭には、老衰による死亡は人口10万人あたり130人を超えていた。しかし、超高齢化社会を迎え、確定診断がつけられないまま衰弱し死に至る事例が増えていると推測する。確かに要介護状態で施設入所者や在宅管理者の場合、精密検査を行わないままお看取りをする方がいる。過剰診療の差し控えなのか、終末期医療の浸透なのか、何とも言えない。この数年の急速な増加が一過性のものなのかどうかが気にかかる。