DNA解析の発展とともに、ヒト集団の系統関係を調べる分子人類学が急速に発展している。興味ある分野であり、関係する書籍を乱読している。
メモ代わりに、これまで読んだ本を列記する。
# 翻訳書
- 作者: ジャレドダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/10/02
- メディア: 単行本
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- 作者: ジャレドダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/10/02
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以前、銃・病原菌・鉄 - リハ医の独白でとりあげた。2000年に日本で刊行された書籍である。当時の最新の知見をもとに、人類の発展に環境が強い影響を及ぼしたことを、豊富な事例とともにとりあげられている。
- 作者: ブライアンサイクス,Bryan Sykes,大野晶子
- 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
- 発売日: 2001/11
- メディア: 単行本
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DNAを用いた人類史研究黎明期に関する本である。こちらも約10年前の著書であり、やや古いが、関わった科学者自身が裏話を含めて記載しており、DNA研究の基本部分に関し理解を深めることができる。
旅する遺伝子-ジェノグラフィック・プロジェクトで人類の足跡をたどる
- 作者: スペンサー・ウェルズ,Spencer Wells,上原直子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2008/10/24
- メディア: 単行本
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ジェノグラフィック・プロジェクトに関わった研究者が記載した本である。分子人類学に関する翻訳書の中では、最も新しい(と思う)。なお、The Genographic Projectが本書と関係するサイトであり、そちらもご覧いただきたい。
# 和書
日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)
- 作者: 篠田謙一
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2007/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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欧米の研究者の本は、どうしてもヨーロッパ中心の記述になる。また、アフリカやオセアニアなど人類拡散の歴史が捉えやすい地域も詳しく記載される傾向がある。しかし、日本を含む東アジア全体については、解釈が難しいこともあり、詳しく触れられることはない。
本書は、DNA解析に関して、基本的な事項から痒いところに手の届くようなわかりやすい記述を心がけている。日本人における分析も細かく記載されている。値段も手頃であり、DNA解析と日本人論に関する入門書となっている。
- 作者: 崎谷満
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2009/09/01
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分子人類学、形質人類学、集団遺伝学、考古学、微生物学、言語学など多くの学際的領域にまたがり、論述された書籍である。帯に、「本書を読まずに日本は語れない!!」と書かれているとおり、実に野心的な本である。日本人論に一石を投じる書物であることは間違いない。
惜しむらくは、日本語論の部分である。東京方言をもとにした標準語と、その他の地方言語との比較に終始しているため、世界各地域との言語比較がされていない。また、重要な部分は引用文献参照とされており、不親切という印象がぬぐえない。専門書のためか、Amazonでは新刊は既に品切れとなっており、入手困難となっている。
われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこへ行くのか (ハヤカワ新書juice)
- 作者: 帯刀益夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/05/21
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東北大名誉教授の著者が、生命科学の最先端の知識を用いて、人類史を記述したものである。DNAに関する知見以外に、鎌形赤血球症とマラリア抵抗性、ピロリ菌の遺伝子的多様性、脳の大きさを決定する遺伝子ミクロセファリン、言語遺伝子FOXP2といった最先端の話題が部外者にもわかるようにと丁寧に記載されている。人類史に関する研究の全体像を把握することができる良書である。
- 作者: 松本克己
- 出版社/メーカー: 三省堂
- 発売日: 2007/11/01
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欧米の言語研究では有効だった比較言語学も、日本語などの孤立言語研究では袋小路に入ってしまっている。そのことをふまえた上で、類型地理論という手法を用いて、世界中の言語の因果関係を調べた専門書である。
言語学者が、遠慮せずに専門用語を用いて論証を進めていく。比較対象となっている言語自体も知らない人間からすると、本当に正しい手法なのかどうかは全くわからない。しかし、導きだされた結論は、分子人類学など他の学問分野から得られた知見と酷似する。多様な指標を組み合わせ結論を導きだす過程から、推理小説を読むような快感を覚える。