Very early mobilizationのRCT進行中

 脳卒中発症後24時間ないし48時間以内に離床を進めるVery early mobilizationについてのレビュー、が、2009年2月、Stroke Online版に投稿されている。
 採用されたランダム化比較試験(RCT)は3つしかなく、そのうち2つは進行中の研究 (Very Early Rehabilitation or Intensive Telemetry After Stroke [VERITAS], A Very Early Rehabilitation Trial [AVERT] III)だった。残りの1つが、である。死亡と能力低下は、Very early mobilization群で少ない傾向があったが、OR 0.67, P=0.42であり、有意ではなかった。このことより、現時点では、Very early mobilizationを勧める理由はまだないと結論づけている。


 紹介されている論文(AVERT II)は、Very early mobilizationの安全性と実現性についての研究である。対象者が71名とまだ少なく、治療効果に関しては、現在進行中のAVERT IIIの結果を待たなければならない。
 本論文における超早期リハビリテーションの特徴は次のとおりである。

  • 最低でも1日2回、患者を起こし、離床を進める(assist the patient to be upright and out of bed)。
  • 日常のケアに加え、週6日行う。
  • この結果、Very early mobilization群は中央値167分の移動訓練を行ない(入院期間中央値は6日)、通常ケア群の中央値69分(入院期間中央値は7日)より、有意に多かった。


 オーストラリア、メルボルンでの研究であり、入院期間はかなり短い。日本の基準でいうと、毎日1日1〜2単位(20〜40分)、座位訓練や立位訓練を行っているようなものと言える。なお、日本においては、CiNii 論文 -  大学病院の経験から(1) : 早期座位の効果に関する無作為対照試験 (脳卒中急性期リハビリテーション : 総合病院での急性期リハビリテーション確立)という研究が行われている。ADLの退院時到達レベルを犠牲にせずに入院期間が短縮された、という結論になっている。両者とも訓練に伴い有害事象は増えていない。


 日本脳卒中学会内にある「脳卒中治療ガイドライン2009」、1-4.急性期リハビリテーションでは、他の論文の結果もあわせ、次のように結論づけている。

1.廃用症候群を予防し、早期のADL向上と社会復帰を図るために、十分なリスク管理のもとにできるだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる(グレードA)。その内容には、早期座位・立位、装具を用いた早期歩行訓練、摂食・嚥下訓練、セルフケア訓練などが含まれる。


 AVERT IIIの結果が待ち望まれる。同時に、より重度の後遺症を持つ脳卒中患者に対して、早期から積極的にリハビリテーションを行い、しかも、長期に継続できるのは日本だけと言える。日本のリハビリテーション関係者が、自ら質の高いエビデンスを作りあげることが国際的にも期待されている。