プロセスとアウトカム

 昨日の日本・カメルーン戦後、岡田監督の評価は一変した。日韓ワールドカップでチェニジアに勝って以来、8年ぶりに勝利をあげた。しかも、アフリカの強豪相手にアウェイで勝ち星をあげた。2002年には、主催国としてのアドバンテージがあった。このことを考えると、今回の1勝は歴史に残る快挙である。
 今年になってなかなか結果を残せずにいた岡田監督に対して厳しい報道が相次いでいたが、マスコミは掌を返したように絶賛の声をあげている。毀誉褒貶は人気商売にはありがちだとは思うが、ここまで極端だと興醒めする。
 勝った・負けただけでは味わいに乏しいためか、スポーツ・ジャーナリズムは、記事のスパイス用にパターン化した原稿をいつも用意している。監督の采配が悪かった、チームが分裂していた、体調管理が悪かった、などその気になれば敗戦用記事はいくらでも作れる。しかし、コインの裏表を逆にすると、同じ材料を使って勝利記事を書くこともできる。「ワールドカップ直前に急造のシステムを試し迷走している」が、「調子の良い者の特徴を生かしたシステムであり、選手交代も適切だった」となる。
 Jリーグの成功に基盤をおいた育成システムの確立が、今回の成果に結実したと、私は考えている。サッカー後進国がワールドカップでそれなりに戦えるようになった。育成というプロセスの改善がワールドカップ勝利というアウトカムに結びついた。結果を短絡的に求めず、土台を築くことが長期的な成果に結びついた。
 E組は混戦模様となっている。日本の一次リーグ突破は、6月24日の最終節、早朝3時30分から行われるデンマーク戦までもつれこみそうである。翌日は、寝不足の目をこすりながら仕事をすることになる。