老健と回復期リハビリテーション病棟の機能の違い

 「介護老人保健施設は、在宅復帰を目指してリハビリテーションを行う施設であり、回復期リハビリテーション病棟と同様の趣旨の施設である」と足立政務官が答弁していた。しかし、厚生労働省:平成19年介護サービス施設・事業所調査結果の概況をみると、介護老人保健施設の在宅復帰機能は限定的であることが分かる。

(4)退所者の入退所の経路
 9月中の退所者について入所前の場所をみると、介護老人福祉施設は「家庭」33.4%、介護老人保健施設は「医療機関」53.5%、介護療養型医療施設は「医療機関」77.5%となっている。
 また、退所後の行き先をみると、介護老人福祉施設では「死亡」が63.0%、介護老人保健施設では「医療機関」45.3%、介護療養型医療施設では「医療機関」、「死亡」32.6%となっている(図9)。


 図9のうち介護老人保健施設分をみると次のように記載がされている。

# 介護老人保健施設
 退所者 16,358人
 平均在所日数 277.6日(268.7日)


(入所前の場所)


(退所後の行き先)


 医療機関から入所した者が全体の53.5%である。一方、医療機関から医療機関に戻ったのは32.3%である。したがって、医療機関からの入所者中約6割は医療機関に戻っていることになる。家庭退院者は全体の31.0%だが、21.2%は家庭からの入所者である。したがって、家庭に退院する者のうち、31.0−21.2=9.8%が、家庭以外からの入所者である。これが全て医療機関からの入所者だとして計算しても、その比率は9.8/53.5=18.3%である。実際には、介護老人福祉施設等の施設や死亡が含まれる。医療機関からの入所者中10%前後しか家庭復帰していないのではないかと概算する。
 老健施設の入所機能は、現実的には、在宅復帰<在宅支援である。短期入所機能も含め、在宅生活者を繰り返し入院させ、要介護者の機能を維持し、家族の介護負担を軽減させることが目的である。回復期リハビリテーション病棟の在宅復帰率は6〜7割だが、在宅からの入院者はほとんどいない。現場では、両者の機能が明確に違うことを認識している。