未収金問題の主因は「生活困窮」と「悪質滞納」

 厚生労働省:医療機関の未収金問題に関する検討会【報告書】の報告書(PDF:465KB)では、未収金問題に関し、次のような分析をしている。

○ また、本調査で得られた21,150件の患者票全体(個別データ)で見ると、「患者が今回の医療費を支払うだけの資力がないほどに生活に困窮している」は件数ベースで17.0%、金額ベースで22.6%であった。また、未収金のある患者について、病院担当者から見て「悪質滞納」と思うものは、件数ベースで8.4%、金額ベースで7.8%、であった。

○ 未収金に関するアンケート調査により、「生活困窮」、「悪質滞納」のそれぞれが、発生の主要な原因であることが確認された。「生活困窮」については、一部負担金減免、生活保護の適切な運用等各種制度の活用について、被保険者、患者に対する十分な情報提供やきめ細かな相談が行われる必要がある。他方、「悪質滞納」については、放置すればモラルハザードを惹起し、未収金発生を助長し被保険者間の公平性を損なうことになりかねないことから、悪質滞納者に対しては、最終的に滞納処分を含め毅然たる態度で望む必要がある。


 「悪質滞納」者がいることは間違いない。ほぼ確信犯ともいうべき者がいる。住宅ローンがあるから払えないと言いながら高級車を乗り回している輩を見ると、いくら応召義務があると言っても診療する気が失せる。本報告書では、保険者が財産調査等を行い滞納処分を実施するという保険者徴収制度についても言及している。
 一方、「生活困窮」者に対しては、様々な対応が求められる。医療ソーシャルワーカーが各種社会資源を利用し、少しでも医療費負担を軽減するために努力している。医師の方でも、面倒だとは思いながら、身体障害者手帳障害年金の診断書を記載することによって、経済的負担減少に取組んでいる。当院では、無料低額診療事業を行うことも検討している。
 政府・厚労省の方でも努力すべきことは山のようにある。国庫補助削減に伴い、国民健康保険料が異常なほど高額になっている。一部負担率・額も医療費削減政策の中で上昇し続けている。「生活困窮」を理由として医療費が払えない者がいるという現実を見据えた政策転換が求められる。