亜急性期病棟におけるリハビリテーションの評価

 平成22年度診療報酬改定関係資料、III 通知(PDF:9,031KB)の95〜96ページに、亜急性期入院医療管理料に関する規定がある。また、660〜662ページに施設基準の説明が、852〜853ページに届出書類がある。なお、医科・調剤(第3部 関係省令・告示)(PDF:536KB)の118〜120ページ、155〜157ページに関係する資料がある。


 今回、亜急性期入院医療管理料において、リハビリテーション提供体制加算 50点(1日につき)が新設された。また、合併症を有するリハビリテーションを必要とする患者を多く受け入れている場合や、他の急性期の入院医療を担う医療機関からの受け入れが多い場合については、病床数の要件が緩和された。


# リハビリテーション提供体制加算 50点(1日につき)

4 リハビリテーション提供加算の施設基準
 注2の加算を算定する病室においては、当該病室に入院し、リハビリテーションを行う患者に対する心大血管疾患リハビリテーション、脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーション、呼吸器リハビリテーション又はがん患者リハビリテーション(以下、この項において「リハビリテーション」という)を1人1週間あたり平均16単位以上行っていること。なお、1人1週間あたり平均単位数については、以下に示すアをイで除した数に7を乗じて得た数により計算するものとする。
ア 直近3ヶ月間に亜急性期入院医療管理料を算定する病床に入室する患者に対し提供されたリハビリテーションの総単位数
イ 直近3ヶ月間に当該亜急性期入院医療管理料を算定する病床において一度でもリハビリテーションを提供された患者の延入院日数


 「一度でもリハビリテーションを提供された患者」という表現に注意が必要である。最初からリハビリテーションを提供しない患者は、亜急性期病床に入院していても計算から除外される。一方、一度でもリハビリテーションを提供してしまった後拒否や状態悪化などの理由でリハビリテーションがほとんど行えなくなると、亜急性期病床に長くいればいるほど、リハビリテーション提供加算算定の妨げとなってしまう。


# 病床数要件の緩和

 ただし、回復期のリハビリテーションを必要とする患者であって、主たる疾患あるいは合併症に対して継続してリハビリテーション以外の医療が必要な患者、中心静脈栄養を行っている患者、重度の認知症の患者、気管切開を有する患者(以下「合併症を有する患者」という)の割合が回復期のリハビリテーションを必要とする患者の1割以上である場合については、一般病床の数の3割(一般病床の数が200床を超える病院の場合は60床、一般病床の数が100床未満の病院にあっては30床)までとすることができる。なお、患者数の割合については以下のアをイで除して算出すること。
ア 直近3ヶ月間の亜急性期入院医療管理料1を算定する病室に入室した回復期のリハビリテーションを必要とし合併症を有する患者の数
イ 直近3ヶ月間に亜急性期入院医療管理料1を算定する病室に入室した回復期のリハビリテーションを必要とする患者の数


 様式50の2 亜急性期入院医療管理料1の施設基準に関する届出書添付書類および回復期リハビリテーションを要する状態の説明は下記のとおりである。

別表第九の二 回復期リハビリテーションを要する状態
一 脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後若しくは手術後の状態又は義肢装着訓練を要する状態
二 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態
三 外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後の状態
四 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靭帯損傷後の状態
五 股関節又は膝関節の置換術後の状態


 「回復期リハビリテーションを要する状態」は、回復期リハビリテーション病棟対象と全く同じである。なお、「五 股関節又は膝関節の置換術後の状態」は今回新しく加わった状態である。回復期リハビリテーション病棟の場合、「損傷後一か月以内に回復期リハビリテーション病棟入院料の算定が開始されたものに限る」という条件が加わる。
 「合併症を有する患者」の中に含まれるものの中で、中心静脈栄養を行っている患者、気管切開を有する患者は明確だが、主たる疾患あるいは合併症に対して継続してリハビリテーション以外の医療が必要な患者、重度の認知症の患者については、詳細は不明である。


 亜急性期入院医療管理料2においては、次のような記載がある。

 当該病室の病床数は、当該保険医療機関の有する一般病床の数の3割(一般病床の数が100床未満の病院にあっては30床)以下であること。ただし、当該病室において、急性期治療を経過した患者のうち、他の保険医療機関から転院してきた患者の割合が1割以上である場合は、5割(一般病床が100床未満の病院にあっては50床)以下であること。


 亜急性期医療管理料は、病床単位で算定される。したがって、病棟単位で運用される回復期リハビリテーション病棟と異なり、看護師のリハビリテーションへの参加は得られにくい。しかも、入院日数の制限が亜急性期医療管理料1で90日、同2で60日と制限されている。したがって、長期にリハビリテーションを必要とする患者にとっては利用しにくい。
 今回の診療報酬改定で、病床数が緩和されたため病棟単位で亜急性期医療管理料を運用することが可能となった。「合併症を有する患者」の規定も基準が厳しくないと思われる。厚労省の公式声明とは逆に、短期間で退院可能な軽度のリハビリテーション対象患者(整形術後、軽度脳血管障害者など)が亜急性期病床に集まるのではないかと予想する。