廃用症候群の適正化

 m3comニュースで、日本リハビリテーション病院・施設協会の石川誠副会長の講演が紹介されていた。今回の診療報酬改訂において、自らの襟を正す姿勢を見せるために、廃用症候群の適正化を訴えたことが紹介されていた。


 具体的には次のような内容である。
# 日本リハビリテーション医学会を除く日本リハビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会のリハビリ医療関連4団体と全国回復期リハビリ病棟連絡協議会の申し合わせ(11月30日)

  • 術後廃用症候群の診断名によるリハビリ料の算定は、単なる術後は不可とし、術後の合併症・肺炎等の感染症などのやむを得ない状況下で廃用症候群を来した場合にのみ算定可能とする。


# 全国回復期リハビリ病棟連絡協議会の提起

  • 回復期リハビリ病棟入院料を算定するには、廃用症候群・難病患者を入院患者の平均20%以内にする。


# リハビリ医療関連5団体(日本リハビリテーション医学会、日本リハビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会)の合意(12月10日)

  • リハビリ医療に関する最終要望の中に廃用症候群におけるリハビリの適正化の文言を盛り込む方向。


 廃用症候群の乱用にメスを入れることは賛成である。しかし、この提起が医療費抑制に悪用された場合、これまで何とか実施できていた高齢の要介護者へのリハビリテーションが不可能になることはないかを危惧する。
 民主党がマニュフェストに掲げていた医療再生が、財政圧力の中風前の灯火になっている。診療報酬改定の動きも例年に比べ、大幅に遅れている。来年度の診療報酬改定の全体像が明らかになるのはおそらく来年1月末から2月初めと予測する。
 リハビリテーション関係の診療報酬が、また大幅に変更されそうな気がする。「無駄」を削って足りない分野に回すという手法は既に成り立たなくなっている。廃用症候群に関する提起も、蛸が自分の足を食うという事態を招くだけではないかという思いがしてならない。