子どもがいる現役世帯で大人が1人世帯の相対的貧困率は54.3%

 子どもがいる現役世帯の世帯員の相対的貧困率の公表について |報道発表資料|厚生労働省が報道発表された。

 厚生労働大臣の指示により、OECDが発表しているものと同様の計算方法で、我が国の子どもがいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)の世帯員の相対的貧困率を算出しました。


 子どもがいる現役世帯の最新の相対的貧困率は、2007年の調査で12.2%です。そのうち、大人が1人いる世帯の相対的貧困率は54.3%、大人が2人以上いる世帯の相対的貧困率は10.2%です。


 資料(PDF:242KB)の3ページに、貧困率の国際比較(2000年代半ば)がある。OECD加盟30ヶ国中、子どもがいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)で大人が1人の場合、日本の貧困率は58.7%で最下位となっている。アメリカが47.5%29位となっているが、それでも日本とは10%以上も差がある。デンマークスウェーデンノルウェーなど北欧諸国では10%前後である。母子家庭や父子家庭など1人親世帯の貧困率が日本ではきわめて高いことがわかる。



 相対的貧困率の推移を示したグラフである。一見、1人親世帯の貧困率が改善しているように見える。しかし、次の表をみると恐ろしい現実が浮かび上がる。



 「所得」の中央値は、1998年には259万円だった。これが9年後の2007年には228万円と31万円も減少している。このことに伴い、貧困線が130万円から114万円と低下した。
 2000年代前半には、企業は好景気を謳歌していた。その一方で「所得」は下がり続け、貧困線も引き下がった。所得は変わらなくても、基準となる値が低下したために、見かけ上1人親の相対的貧困率が改善したようにみえるだけと推測する。


 月10万円にも満たない「可処分所得」で子どもを育て続ける1人親世帯が50%以上もいる。同時に相対的貧困率近傍の世帯も少なからずいることを本資料は暗示している。