新型インフルエンザワクチン、医療従事者だけ1回接種

 新型インフルエンザワクチン接種回数に関する最新の通達接種回数 PDF(10月20日現在)に次のような記載がある。

【今回の確定事項】
(1)「新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」について
 今回の臨床試験において、20代から50代の健康成人については1回接種でも十分な抗体値の上昇がみられたことを踏まえ、20代から50代の健康な「新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」については、その次のカテゴリーである「基礎疾患を有する者」や「妊婦」に対し、可能な限り早く接種を実施することが望まれることから、1回の接種とする。


 他の対象者は、様々な条件はついているが、当面2回接種のままとなっている。結局のところ、医療従事者の分のワクチンを削って、「基礎疾患を有する者」や「妊婦」に回すということが決まっただけである。
 ワクチン接種が優先される医療従事者100万人の内訳は不明(2009年10月2日)で以前推計をしたが、病院と一般診療所の従事者総数は約234.2万人であり、医師・看護師・准看護師だけを合計しても、約122.1万人となる。医療現場では、新型ワクチン不足が深刻な事態となっている。当院でも、感染症患者が入院する内科病棟の看護師の半数以上に行き渡らないという異常事態となっている。
 そもそも、「新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」という概念を創造し、ワクチン接種者数をしぼりこんだことが問題である。さらに、医療従事者分のワクチンを削って、他の優先対象者に回すという方針になった。現場の人間として、やりきれない想いにかられている。