当院外来における月13単位制限内リハビリテーション患者

 当院外来における月13単位制限内リハビリテーション患者について調べてみた。
 実数で50人弱の対象者がいたが、半数は失語症者だった。失語症以外の脳血管障害者は約20人で、平均年齢はだいたい45歳。最低22歳、最高66歳だった。骨関節疾患で長期にリハビリテーションを継続している患者は橈骨遠位端骨折の1名だけで、まもなく終了予定だった。脊髄小脳変性症などの神経筋疾患患者が4人ほどだった。


 当院では、通所リハビリテーションを積極的に行っている。他事業所の通所サービスも多く、激戦区となっている。訪問リハビリテーションサービスも少しずつ増えている。高齢者の維持期リハビリテーション対象者は介護保険を利用するという流れができている。
 医療保険リハビリテーションを長期に継続していたのは、失語症者と若年発症の脳血管疾患だった。いずれも介護保険サービスになじまない。 失語症者は長期にリハビリテーションを行うことで、機能障害の回復や実用的コミュニケーション能力の向上を期待できる。若年者の場合には、復職・復学など社会復帰の問題が大きく、180日を超えたからといって、打ち切ることはできない。機能回復の伸びしろもある。


 厚労省は、慢性期や維持期リハビリテーションを全て介護保険で行うことを考えている。しかし、長期に医療保険リハビリテーションを継続している患者の実態をみると、それなりの理由がある。短時間型通所リハビリテーションは、医療保険から介護保険へという流れの中で作られた。しかし、人員配置のわりに低い介護報酬といった問題があり、普及は進んでいないようだ。少なくとも、当院の近隣には全くない。
 現政権は、障害者自立支援法後期高齢者医療制度の廃止など、矢継ぎ早に政策転換を表明しているが、リハビリテーション問題に関する発言は聞こえてこない。政権交代リハビリテーション打ち切り問題にどのような影響を与えるか、現時点では皆目検討がつかない。