自己正当化、無謬性の主張に終始してしまう態度

 著名な感染症学者、岩田健太郎氏の発言が興味深い。新型インフルワクチンについて: 楽園はこちら側より。

 新型インフルエンザの問題は我々にとって厄災ですが、遅れている我が国の感染症事情をつまびらかにする点では意味のあることでした。日本のワクチン行政の質は低いです。でも、今だめなことが愚かなのではありません。今だめなことを認識できず、自己正当化、無謬性の主張に終始してしまう態度こそが、本当に愚かなのです。私は日本の行政がそこまで愚かでないことを信じたいと思います。


2009年8月26日 岩田健太郎 神戸大学


 官僚無謬論に対するこれほどまで辛辣な意見はなかなか聞けない。
 リハビリテーション分野でも、この数年間、疾患別リハビリテーション料算定日数上限問題、回復期リハビリテーション病棟成果主義導入問題、そして、要介護認定システム変更問題が起こった。後期高齢者医療制度、外来管理加算5分ルール問題は、医療界から激しい反発を受けた。
 自らの力量の限界をわきまえず、専門的な見地からみて妥当性のない施策を科学的な装いをこらして押しつける。その無謀さに対する批判を浴びても謝らず、表面を糊塗するような修正をして平然とする。ただひたすら医療費削減を目指す政策を、権威主義的に実行する。
 岩田氏とは異なり、私は日本の厚労省行政の愚かさに愛想を尽かしている。政権交代が現実のものとなろうとしている現在の状況において、厚労省官僚がどのように出処進退を明らかにするのかを見極めたい。