混乱するメッセージを厚労省が発信

 新型インフルエンザ対策でお勧めの医療系ブログがある。感染症専門医として研修医に人気の青木眞先生が編集長を務めている感染症診療の原則である。淡々とした語り口で、専門的な内容を分かりやすく説明している。本日アップされたconfusing messageの害 - 感染症診療の原則がなかなか面白い。一部を引用する。

 以前、シアトルにあるUniversity of Washingtonで2週間の感染症の訓練を受けたときのリスコミのコマで、絶対にやってはいけないことといわれたのがMixed Message, Confusing Message(混乱するメッセージ)の発信でした。


(中略)


 Confusing messageの結果として、「相反する二つのメッセージともに胡散臭く聞こえる」「情報発信者の言うことを信用しなくなる・軽視する」ということにつながります。(ま、うそつきに近いですね)


(中略)


 メディア報道(批判記事)を受けて厚生労働省が5月6日に出した事務連絡(命令)は下記の短い内容です。


 特定のところでみろといいながらどこでもみなさいです。
 confusing messageのいい例ですね。今後講義で使ってみよう・・・。

 事務連絡
 平成21年5月6日
 各都道府県衛生主管部(局)医務担当者 御中


 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部


 国内未発生期における発熱外来を置かない医療機関への発熱患者の受診について


 新型インフルエンザ患者の国内発生に備え、関係者との情報共有や発熱外来の設置など、医療体制の確保等について対応いただいているところですが、海外発生期(国内未発生期)における発熱外来を置かない医療機関への発熱患者の受診について、下記の通り、基本的な考え方をまとめましたので、所管の全医療機関にご周知いただきますようお願いいたします。


 記


○ まん延国への渡航歴や患者との接触歴が認められる発熱患者が、発熱相談センターを通じずに発熱外来を置かない医療機関を受診したり、電話による相談があった場合には、まず発熱相談センターに電話で相談し、必要に応じて紹介される適切な医療機関を受診するように勧めること。


○ 発熱相談センターの指導に従って発熱者が発熱外来を置かない医療機関に受診した場合は、患者にマスク等を使用するように指導するなど、感染予防に必要な指導を行った上で、当該医療機関が診察すること。

厚生労働省:国内未発生期における発熱外来を置かない医療機関への発熱患者の受診について(事務連絡)


 厚労省は、結局のところ、新型インフルエンザ問題でも責任をとりたくないようだ。住民の苦情を現場の医療機関に押しつけている。この間、リハビリテーション算定日数除外問題や要介護認定制度変更問題等々で責任回避の発言を繰り返しているため、オオカミ少年のように誰からも信用されなくなってしまった。それにしても、青木先生の「ま、うそつきに近いですね。」というコメントは辛辣である。