株式会社立訪問看護ステーション、不正受給で指定取り消し

 介護報酬不正受給を理由とし、株式会社立訪問看護ステーションが指定を取り消されたと、先月報じられた。

介護報酬1億7千万円を不正受給 訪問看護指定取り消し


 東京都は19日、書類の不備があったのに約1億7000万円の介護報酬を不正に受給したとして、介護保険法に基づき、目黒区の介護事業者「パラゴン」(利根川雪子社長)が運営する訪問看護事業所「碑文谷訪問看護ステーション」の指定を3月31日に取り消すと発表した。


 都によると、パラゴンは2000年12月から昨年7月まで、利用した167人の訪問看護計画書を作成していなかったほか、うち約半数で医師の指示書を受け取っていなかったのにサービスを提供、介護報酬を不正に受け取っていた。


 都は03年11月、定期指導で書類の不備を見つけ、パラゴンに指摘。パラゴンは04年11月、改善したと報告したが、都が昨年7月に調査した結果、書類は不十分なままだったという。


 パラゴンは都に不正受給の事実は認めたが「サービスは適正だった」と話しているという。

http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009011901000757.html


 東京都の処分内容は、http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2009/01/20j1j500.htmに詳しく記載されている。介護保険法に基づく指定取消理由は次の2つ。

ア 運営基準違反
 サービス提供の開始にあたって、医師の指示書を文書で受けず、訪問看護計画書についても適正な処理が行われないなど、運営基準を満たさずに、数年にわたり適正な訪問看護を提供することができなかった。


(法第77条第1項第3号)


イ 不正請求
 報酬算定の要件である、医師の指示書及び訪問看護計画書に基づく訪問看護が行われておらず、請求できない介護報酬を数年にわたり請求し受領した。


(法第77条第1項第5号)


 介護予防訪問看護についても、同様に運営基準違反と不正請求を処分理由としている。


 長期に渡り、不正行為を続けた動機が私には分からない。しかも、途中で東京都から是正勧告を受けている。最初から法令を遵守する意思がなかったのではないか。
 訪問看護では医学的処置が行う場合が多い。今回の事件の場合、主治医との連携を強化しなければならないという意識が訪問看護ステーション側に希薄だったと感じる。http://www.nursejinzaibank.com/?act=public_recruit_detail&id=301をみると、「病院勤務でドクターの指示だけで動くのではなく、自分で考え行動できる自立精神のある看護師さんの募集をお待ちしております。」となっているが、今となっては悪い冗談のような記載となっている。主治医が指示書を書かなかった訳ではないだろう。医師の指示書の有効期間は最長6ヶ月までとなっており、毎月記載するものではない。
 厚生労働省:平成18年介護サービス施設・事業所調査結果の概況をみると、訪問看護事業所5,470ヶ所中、開設者が営利法人(会社)であるものが1,024ヶ所18.7%となり、医療法人の2,431ヶ所44.4%に次いでいる。今回、問題を起こした訪問看護ステーションも、株式会社立である。コムスンもそうであったが、本来非営利事業であるべき介護分野に営利法人(会社)が参入させたことの弊害があるのではないか、という危惧が捨てきれない。