失業者駆け込み寺

 失業者の増加が懸念される中、地域支援の輪が広がり始めている。http://www.asahi.com/national/update/0206/TKY200902060264.htmlより。

 離職者らのために僧侶が用意した「駆け込み寺」に、路上生活をしていた人たちが集まっている。寺の集団生活を支えようと、近所の人が食材や不用品を持ってきてくれることも増え、支援の輪が地域に広がり始めた。


 宮城県南部の海沿いの町、亘理(わたり)町。町を西から東に流れる阿武隈川沿いの畑の中に「不忘山行持院」はある。行政書士で美容院などを経営し、僧侶でもある真壁太隆(たいりゅう)さん(59)が昨秋、「布施行」をと1500平方メートルの敷地に古い民家を改造して建てた。木造一部2階建ての約230平方メートルの母屋に現在14人が暮らす。

 寺で暮らすのは、カメラの部品工場を解雇され、車中で暮らしていた男性(47)や、仙台市のサービス業者から解雇された男性(53)など最近まで仕事をしていた人ばかり。雑談になると「いつ働けるんだろう」と経済の行方などを話し合っているという。元サービス業の男性は「封筒を一枚折るのでもいい。仕事がしたい。社会とのつながりがほしい」と話す。

 そこで、真壁さんは近所の建設業者や農家に仕事がないか相談してみようとも考えている。近くの休耕地を借りて、畑仕事を始めてもいい。「彼らを見ていると、明日は我が身かもしれないと思う。みんなが自分のできる範囲で、いろんな角度から自立を支援していけたら」と話す。あと30人程度利用可能だという。連絡先は真壁さん(090・2796・9440)。(守真弓)


 「明日は我が身」、「持ちつ持たれつ」、この考え方が地域社会を支えている。強欲な市場原理主義との対極にあるまっとうな考え方が世の中を救う。