脳卒中や認知症患者いじめがエスカレートしている

 厚労省による脳卒中認知症患者いじめがエスカレートしている。施設基準の地方ルール? : Mediwel Log メディウェルログより、障害者施設等病棟に関する重大な疑義解釈を紹介する。

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 ある県の病院では、障害者施設等入院基本料(1病棟60床)を算定していました。しかし10月で経過措置が切れるので新たに施設基準の届出を行いました。施設基準では障害者施設等入院基本料の該当患者を概ね7割確保していれば良いことになっています。そこで同院では実際の入院患者数の7割が入院していれば良いと判断して届出を行い、これまでは問題はありませんでした。しかし新たな届出では、当該県厚生局側から『入院患者数の7割の該当患者』は認められない、『病床数の7割の該当患者』でなければならないといわれ、非常に困惑し弊社に相談に来ました。

 そこで同県の厚生局に疑義照会を行うと同時に、担当官に話を伺いました。すると同県では、つい最近まで『入院患者数の7割の該当患者』と判断していたようです。しかし他県の医療機関から「おかしいのではないか」との指摘を受け、厚生労働省に疑義照会を行ったそうです。それにより『病床数の7割の該当患者』との回答が得られたそうです。
 同担当官は、「概ね7割という規定は、病床数に対してのもので、入院患者数に関してではない。また施設基準に特に“入院患者数”と明記されていないなのだから、その際には病床数と解釈する。さらにいえばそもそも障害者施設等入院基本料を算定している病棟は、該当患者を100%入院させることを前提としている。この件に関しては厚生労働省に疑義解釈を行って決着がついている」と述べています。

 この件に関してはより厳しい解釈もされていると聞いています。なんと病床数に対しての該当患者7割規定に関しても、他病棟を有している病院には適応されないというものです。例えば一般病床と障害者施設等入院基本料を算定している病棟を有している病院などです。厚生局の見解ですと、もし非該当患者が存在するのであれば、一般病床に入院させれば良いとのことです。仮に障害者施設等入院基本料を算定している病棟しかない場合には、他の病棟に回しようがないので“特別に”非該当患者を3割まで認めるという解釈です。


 「入院患者数の7割」と「病床数の7割」とでは大違いである。看護職員や医師数を十分確保できない場合、許可病床数を全て運用することは困難である。もし、病床数の7割しか運用できていない場合、ほぼ全例が該当患者でなければならない。ましてや、該当患者100%が求められた場合、2008年10月1日より非該当となった脳卒中認知症の患者は1人として入院継続できない。
 厚労省は、医療費削減という大義名分の下、情け容赦ない仕打ちをする。2006年度に行われた医療療養病床への医療区分導入、2011年度末に実施される介護療養病床全廃、そして、2008年度に行われた障害者施設等病棟からの脳卒中認知症はずし。連続した医療改悪に上積みされた厚労省の疑義解釈の結果、重度の障害を持つ脳卒中認知症患者は行き場を失った。