大分キャノン株式会社の企業理念は共生

 大分キャノン株式会社 企業理念より。

 共生


 キヤノンの企業理念は「共生」です。共生は「文化、習慣、言語、民族などの違いを問わずに、すべての人類が末永く共に生き、共に働いて、幸せに暮らしていける社会」をめざします。現在、地球上には共生を阻むさまざまなインバランスが存在しています。なかでも、貿易インバランス、所得インバランス、そして地球環境のインバランスは、解決していかなければならない重要な課題です。キヤノンは共生の実践により、これらのインバランス解消に積極的に取り組んでいきます。真のグローバル企業は、顧客、地域社会に対してはもちろん、国や地域、地球や自然に対してもよい関係をつくり、社会的な責任を全うすることが求められます。キヤノンは、「世界の繁栄と人類の幸福のために貢献していくこと」をめざし、共生の実現に向けて努力をつづけます。


 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/63587より。

大分キヤノン1100人削減 東芝大分は期間工ら380人 労働局調査
2008年12月4日 15:42


 キヤノン子会社「大分キヤノン」(大分県国東市)と「大分キヤノンマテリアル」(同県杵築市)が、生産委託する請負会社に減産の意向を伝え、製造現場で働く請負会社従業員1177人が来年1月までに失業する見通しであることが4日、大分労働局の調べで分かった。東芝大分工場(大分市)関連でも来年3月までに期間工ら380人が失業の見込みであることが明らかになった。


 大分労働局によると、キヤノン関連の請負会社は8社。カメラ生産の「大分キヤノン」で1097人、複写機のトナーカートリッジを生産する「大分キヤノンマテリアル」で80人が、それぞれ失業する見込み。東芝大分工場関連では、工場が直接雇用する期間工や取引先従業員が離職する。


 キヤノンは10月、世界的な景気悪化を受け、デジタルカメラの2008年度年間販売計画を当初計画より150万台減の2790万台に下方修正。大分キヤノンデジタルカメラなどを製造している。同社は「減産を伝えたのは事実だが、請負会社の人員調整数まで把握していない。請負契約を解除したかは公表できない」としている。


 大分労働局は、10月から来年3月までに契約切れや解雇などで失業か失業見込みの派遣・請負の労働者らを10月から11月にかけて調査。同県内では失業者が1557人に上る見通し。


=2008/12/04付 西日本新聞夕刊=


 キャノンにとって、請負会社は雇用調整弁としての価値しかない。企業理念の「共生」の対象には、請負、派遣、期間工は入っていない。
 キャノンの首切りにより職と住まいを奪われた労働者たちに対し、地域社会がいち早く対応した。http://www.asahi.com/national/update/1216/SEB200812160005.htmlより。

キヤノン解雇者を市臨時職員に採用 大分・杵築市
2008年12月16日14時4分


 大分県大分キヤノン国東市)と大分キヤノンマテリアル(杵築〈きつき〉市)の減産に伴い約1200人の非正規社員が解雇される問題で、杵築市は失業者を臨時職員として採用することを決め、16日から募集を始めた。来年1〜3月に1カ月交代で延べ数十人程度を雇い、家賃の一部も市が負担することを検討している。


 民間会社の解雇者を自治体が雇用して救済するのはきわめて異例。市緊急雇用等対策本部によると、市内には再雇用を見込める企業が少ないため、緊急措置として臨時職員の雇用を決めた。交通整理や草刈り作業などで、給与は平均11万円前後の見込み。


 非正規社員の大半は請負会社などが借り上げたアパートに住んでおり、市には解雇された人から「求人情報を教えて」「アパートを出なければいけない」といった相談が計9件寄せられている。採用する臨時職員には市営の宿泊施設や民間アパートを提供し、家賃の一部を市が負担する。


 市商工観光課によると、雇用枠は各担当課と調整中だが、全25課で1、2人ずつを採用する考え。家賃補助も含めた事業費も企画財政課と調整中で、「年末に路頭に迷う人を出してはならない。再就職が決まるまでの手助けが必要だ」として、募集開始に踏み切った。


 一方、JAおおいた大分市地域本部も15日から、解雇や契約を打ち切られた非正規社員らを対象に、野菜の選別作業などにあたるパート従業員の募集を始めた。25日まで受け付け、来月中旬から50〜60人程度を雇う。


 杵築市の取組みが報道されたことを受け、大分市国東市が同様の対応をとり始めている。人手不足に悩むJAも本気で支援をしている。
 捨てるキャノンに拾う自治体・JA。どちらが共に生きる社会を本当に考えているかがよく分かる。


 【決算】キヤノンは営業利益が過去最高,デジタル・カメラの販売台数は17%増 | 日経 xTECH(クロステック)には、次のような記載がある。

 キヤノンの2007年12月期(2007年1〜12月)の決算は,増収増益となった(PDFの発表資料)。売上高は対前年比7.8%増の4兆4813億4600万円。営業利益は同7.0%増の7566億7300万円で過去最高を記録した。純利益は同7.2%増の4883億3200万円だった。デジタル・カメラやカラー・ネットワーク複合機,レーザ・プリンターなどが販売数を着実に伸ばしたことや為替によるプラス影響が,増収に貢献した。


 キャノンの御手洗冨士夫氏は、経団連会長である。企業の社会的責任を日頃強調してきた。しかし、実際とった行動は、非正規労働者の雇い止めだった。体力的に余力のあるキャノンが首切りを行うことにより、他の企業が遠慮せず、同様の所業を行い始めた。「共生」という企業理念は、単なる標語に過ぎなかった。