「一口タイプのこんにゃく入りゼリーの事故防止強化策」への期待

 マンナンライフがミニカップ入りこんにゃくゼリー製造を再開した。http://www.mannanlife.co.jp/info4.htmlより。


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窒息事故を予防するために(2008年11月2日)


平成20年11月26日
 お客様 各位


蒟蒻畑ポーションタイプ」製造再開のご案内


 平素は弊社商品に格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
 弊社は、警告マーク拡大要請に対し、時間的、物理的に適正な対応が困難であり、お客様へ多大な混乱とご迷惑をお掛けするおそれがあると判断し、去る10月8日に一時製造を中止させて頂きました。
 農林水産省の通知を受けて業界3団体が取りまとめた10月3日発表の「一口タイプのこんにゃく入りゼリーの事故防止強化策」における決定事項に従い、パッケージ正面に警告マークを大きく入れることや、裏面の警告表示に「凍らせないように」という警告文の追記、また個包装にも警告マークを入れること、さらに業界3団体が取りまとめた事故防止強化策に加え、こんにゃく粉を減量した製品を製造する準備が整いましたので、下記のとおり製造販売を再開させていただくこととなりました。
 なお、形状や物性の改善策に関しましては、業界団体主宰の「こんにゃく入りゼリー物性等改善方策検討委員会」への参画や、関係機関の指導、助言等を踏まえ、検討して参ります。
 皆様にご心配とご迷惑をお掛けし誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げます。
 今後とも益々のご愛顧の程、何卒宜しくお願い申し上げます。


株式会社マンナンライフ
代表取締役社長 永井 孝


 「一口タイプのこんにゃく入りゼリーの事故防止強化策について」(PDF:173KB)の概要は次のとおりである。

I.強化策の対象
 一口タイプのこんにゃくゼリーを対象とする。
 具体的には、ミニカップタイプのこんにゃくゼリーと袋物等の一口タイプのこんにゃくゼリーを対象とする。


II.表示の改善・強化
1 袋おもて面の警告内容の明確化及び警告マークの拡大
 消費者が分かりやすく、また、警告マークの警告内容が十分に伝わるようにするため、新たに大きな白抜きの四角スペースを設けて、「〜お願い〜 小さなお子様や高齢者の方は絶対に食べさせないで下さい。本品は弾力性があり、そしゃく力の弱い小さなお子様や高齢者はのどに詰まる恐れがあります。」という文章での警告表示を行う。また、警告マークについても従来より大きくする。


2 袋の裏面の警告表示等の改善
 消費者に分かりやすくするために、裏面の警告表示内の文字を大きくする。また、事故防止対策に万全を期すために、新たに、
 ・凍らせないこと
 ・召し上がり方についての注意、
を表示事項として追加する。


3 個包装の表示の改善
 袋の中の個々のミニカップのフタ部分にも、警告マーク(文章入り)又は「お子様や高齢者の方は食べさせないで下さい。」という表示を大きくはっきりと分かるように行う。(例えば、個包装のトップシールの3分の1程度を占める割合)


III 形状及び物理特性の改善
1 「こんにゃくゼリー物性等改善方策検討委員会」の立ち上げ
 明らかに事故の発生リスクが下がることを科学的に説明できる改善策を見出すため、こんにゃくゼリー合同対策会議のメンバーに学識経験者、メーカーの研究者等の専門家を加えた「こんにゃくゼリー物性等改善方策検討委員会」を立ち上げる。


2 企業における改善取組
 検討委員会での検討と並行して、ゼリーの形状及び物理特性について可能な改善に取組む。


IV 販売方法の改善
1 流通関係団体への協力の依頼
 3団体の連名で、小売業、卸売業の団体に、今回の事故防止強化策の内容についてお知らせするとともに、併せて、店頭において警告表示の掲示、子供向け菓子と一緒に販売しないなどの取組に、傘下企業の協力をお願いする。


2 各メーカーから流通事業者への協力の要請
 各メーカーからも、流通事業者に対して今回の事故防止強化策の内容を説明するとともに、併せて、店頭での取り扱いについて依頼する。


 「一口タイプのこんにゃく入りゼリーの事故防止強化策について」を読むと、全国こんにゃく協同組合連合会、全国菓子工業組合連合会、全日本菓子協会の関係3団体はミニカップ入りこんにゃくゼリー再発防止に向け、真摯な努力をしていることが伺える。今回は警告表示の強化と流通業者への協力要請が主体となっているが、「こんにゃくゼリー物性等改善方策検討委員会」を立ち上げ、根本的な改善策を検討することを表明している。


 窒息事故を予防するために - リハ医の独白で、こんにゃくゼリーについて言及した部分を引用し、本エントリーのまとめに替える。

 こんにゃくゼリーは弾性が強く、かたい。ミニカップから吸いこむという食べ方をするため咽頭に入りやすく、窒息事故を引き起こす。
 これまでも、「小さい子どもや高齢者が食べると危険」という表示をつけるなどの対策を業界はとってきたが、事故が続いている。こんにゃく「ゼリー」という通称に含まれている「ゼリー」という言葉が、安全な食べ物であるという誤認を招いている可能性もある。
 ミニカップ入りこんにゃくゼリーが店頭から消えて約1ヶ月となる。テクノロジー : 日経電子版に記載されているように、こんにゃくゼリー問題に関しては賛否両論が沸き起こっている。
 私の意見は次のとおりである。
 ミニカップ入りこんにゃくゼリーは、歴史がまだ浅いが、日本のこんにゃく文化に根づいたものであり、根強い愛好者がいる。ただし、弾性が強くかたいという物性、ミニカップ入りという形状、そして、ゼリーという誤認しやすい名称が窒息事故を誘発しており、安全性の点から見て未完成のものといえる。今後、長く愛される菓子類であり続けるためには、物性、形状、名称の変更を断行する時期になっている。少なくとも、ミニカップ入りという形状は捨て去るべきである。包装紙に包まれた和菓子のようなスタイルが生き残りの道となるのではないだろうか。