奥羽越列藩同盟シンポ、今後も継続?

 今日は、ちょっと軽く歴史の話題を。
 http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000000811240004より。

義と誇り再評価/白石で戊辰戦争シンポ
2008年11月24日


 戊辰戦争から140年を迎え、奥羽越列藩同盟が結ばれた白石市で23日、記念のシンポジウムが開かれた。久保田(秋田)、盛岡、仙台、米沢、長岡、会津の「各藩代表」と白石城代表の風間康静市長らが「同盟は義と誇りを守るために結ばれた」と意義を話し合った。

  • 仙台藩」の水野沙織・仙台市博物館学芸員:「同盟は諸藩の代表が討議して結論を出す政治を求めた。会津、庄内両藩の赦免を求めたが、却下されて仕方なく売られたけんかを買った形で戦った」と述べた。
  • 会津藩」の野口信一・会津若松市会津図書館長:「当時、臆病(おく・びょう)、卑怯(ひ・きょう)は最大の恥で、仕掛けられた戦いに立ち向かった」。
  • 盛岡藩」の編集者・ライターの佐藤竜一さん:「場当たり的だった面はあるが、武士道の精神から戦った。その意思は原敬新渡戸稲造ら、岩手県民に受け継がれ、反骨精神が生まれた」と述べた。
  • 仙台市梅原克彦市長も聴衆の一人として参加:「良く戦った先人を誇りに思う。同盟の精神をくみ取り、建設的な東北をつくっていきたい」
  • 白石市の風間康静市長:「戦いに勝ち負けはあるが、本当に負けたかは、これからの取り組みが決める」。
  • 奥羽越列藩同盟」の著書がある作家の星亮一さんが司会役:「同盟には米国の政治をモデルにした共和政治の考え方も含まれ、時代を先駆けた考え方だった」と強調した。


 シンポジウムは今後も継続的に開かれる予定という。


 東北人は、物静かでおとなしく、淡白という印象がある。訥弁であるためか、コミュニケーションをとることが苦手なことが原因かもしれない。しかし、実際は粘着気質で頑固である。戊辰戦争からかなり時が経っているはずだが、たった140年前とついこの間の出来事のように語られる。同僚のリハ医は鹿児島出身だが、当地に来たばかりの時に「来たな、薩長連合。」と言われ驚いたといつも話をする。
 白石城伊達政宗の右腕片倉小十郎の居城である。片倉小十郎は、来年のNHK大河ドラマの主人公直江兼続と並んで、NO2ながら時の天下人からその器量を高く評価されていた武将である。豊臣秀吉の奥州征伐時に、大名にとりたてられるという話があったが、主君を慮り辞退している。最近では、ゲームソフトBASARSでキャラクターとしての人気が高まっており、白石市の町おこしキャラクターともなっている。奥羽越列藩同盟の会盟の地が白石城であったこともあり、本シンポジウムが白石市で行われた。なお、白石城徳川幕府一国一城令の例外として、仙台城と並んで保持が認められていた。1994年に木造建築として復元された城郭であり、一見の価値がある。


 実は、戊辰戦争の激戦の地会津でも、9月20日に同種のシンポジウムが行われていた。*1参加者はこちらの方が豪華である。

  • 講演会講師 徳川恒孝氏(徳川宗家18代当主)、中村彰彦氏(直木賞作家)
  • パネリスト 松平保久(会津松平家13代当主)、松平定純(桑名松平家17代当主)、伊達泰宗(仙台伊達家18代当主)、酒井忠久(庄内酒井家18代当主)、牧野忠昌(越後長岡牧野家17代当主)、上杉邦憲(米沢上杉家16代当主)

 新撰組人気もあり、会津藩の悲劇は広く世に知られている。会津藩は、幕末の動乱時、京都守護職としてその役割を忠実に果たしたばかりに薩長に深く恨まれた。敗戦のあとも戦死者の埋葬が許されず、野ざらしのまま放置された。藩自体、下北半島の果てに改易され、塗炭の苦しみを味わった。明治以降会津出身というだけで冷遇され、その苦労は代々語り継がれている。
 会津人の長州に対する恨みは根深い。民間レベルの交流はあるが、公的には断絶した状態が続いている。なにしろ、山口県萩市の市長が会津若松市を訪れても握手もできない状態である。*2
 会津だとか長州だとか未だにこだわるのは時代錯誤だという声がある。個人的には全く同意見である。これだけ世界が狭くなって多民族の融合が必要になっている時代なんだから、もっと仲良くすれば良いのにと思うのだが。年配者はともかく、若い人にとっては戊辰戦争時の薩長と東北諸藩の確執は酒の肴にしかなっていない。


 奥羽越列藩同盟は「米国の政治をモデルにした共和政治の考え方」を持っていたというのは単なる観念論に過ぎないが、東北人は反骨精神旺盛というのはそのとおりだと思う。考えてみると、私も東北人の血を受け継いでいるせいか、かなりしつこい。悪くいうと根に持つタイプである。なにしろ、回復期リハビリテーション病棟への成果主義導入という問題に関して、こうまでしつこくブログで発信し続けているのだから。
 白石市会津若松市で行われた奥羽越列藩同盟シンポは郷土愛に根ざしたものである。今後も継続するとのことだが、どんなふうに続くのやら、興味がある。機会があったら参加してみたい。