早食い競争で、男児が窒息死?

 悼ましい事故がおきた。原因について、様々な報道がされている。おそらく、給食のパンで男児が窒息死、両親はで報じられているように、早食い競争が窒息の原因となったということが、真実に近いのではないか。

給食のパンで男児が窒息死、両親は


 男の子はなぜ、パンを一気に口に入れたのでしょうか?千葉県船橋市の小学校で6年生の男の子が給食のパンをのどに詰まらせ窒息死した問題で、男の子の両親がJNNの取材に応じ、学校は十分な説明をしていないと訴えました。


 「あの校長先生の言い方だと、みんなが食べているところで、いきなり始めちゃったととれる。そうじゃないってことを知っているから・・・」(三橋君の両親)


 この問題は今月17日、千葉県船橋市の峰台小学校で、小学6年生の三橋隆憲くんが直径およそ10センチの給食のパンをのどにつまらせ、窒息死したものです。


 「『このくらいだったら早く食べられる』と、(パンを)半分に切ってパパッと入れた。担任の先生が『ばかなことはやめなさい』と注意しました。横にいる友達も『危ないからやめなさい』と」
 (競争のような?)
 「いや、そういうことじゃありません」(船橋市立峰台小学校・末永啓二校長)


 学校側は、三橋くんがひとりで、パンを一気にほおばったと説明していますが、実際には、その直前、子ども同士で食べるスピードを競いあうような状況があったというのです。


 「パンを早く食べることを給食で男の子たちが何度かやっていて、(三橋君が)『何秒で食べられるかやってみれば』と持ちかけられて、それで一気に食べたという話を(子どもから)聞いた」(同級生の保護者)


 両親は学校はこうしたいきさつを、きちんと説明してほしいと訴えます。


 「いまのままだと本当に可哀相。ささいなことなんです。早食い競争があったかないかなんて・・・。大事なことは(学校側が)本当のことを言ってくれるかどうか」(三橋君の両親)


 取材に対し、校長は「担任から早食い競争はなかったと聞いている」と話しています。(22日10:51)


 以前、大食い早食いをマネした中学生が亡くなったことがある。フードファイトの番組が槍玉にあげられ、いっせいに姿を消した。今回の事故と類似している。


 お年寄りでも、食事のペースが守れず、かきこむように食事をして、窒息を起こしてしまうことがある。ついこの間も、スイカをつまらせた高齢者がいた。処置が早かったため、大事にはならなかった。医療安全委員会で議論になった時、カットしたスイカの大きさが問題だという見当違いの意見が出てきたので、次のような説明をした。


 人間ののど(咽頭)は、空気と食物が交互に通る交差点のようなところである。食物がのど(咽頭)を通る時、のど仏(喉頭)が上がり、喉頭蓋が倒れ気道の閉鎖を行う。同時に、のどちんこ(軟口蓋)が上がり、鼻(鼻腔)への通り道を閉鎖する。舌の後ろ側(奥舌)も上がり、口の中(口腔)へも戻らないようにする。のど(咽頭)が閉じられた部屋(閉鎖腔)となった時、嚥下反射が起こり、食道の入り口がゆるみ、食べ物が食道から胃へと運ばれていく。この絶妙な嚥下機能が障害された時、誤嚥や窒息が生じる。嚥下障害とは、空気と食物が交互に通る交差点の信号が故障した状態と考えれば良い。
 人間は雑食である。あらゆる食物は、そのまま食べると窒息の原因となりうる。安全に嚥下できる食塊とは、咀嚼をしながらつくられていくもので、ある一定の粘性と弾性がある。嚥下障害の方に出す嚥下食とは、あらかじめ、嚥下しやすいように調整された食事のことを指す。早食いというのは、咀嚼を十分行わずに飲み込むことに他ならない危険な行為である。たとえて言えば、交差点にスピード違反のまま飛び込む行為に似ている。


 子供や高齢者では、嚥下機能が発達途上にあったり、衰えつつあるために、食事に関係した問題が生じやすい。少しずつ、よく噛んで食べる、という当たり前のことを守ることが、窒息事故予防にとって最も重要であることをあらためて強調したい。