高齢低所得者が「社会的退院」を迫られている

 Yahoo!ニュースに転載されたCBニュース、「社会的退院」の高齢低所得者にどう向き合う より、社会的退院について。

「社会的退院」の高齢低所得者にどう向き合う
10月15日21時56分配信 医療介護CBニュース


 医療や介護を必要とする高齢の低所得者をいかに支えるか?。ホームレスや低所得高齢者、要介護高齢者の生活支援を行っている民間非営利団体(NPO)「自立支援センター・ふるさとの会」はこのほど、「高齢低所得者の居住支援と地域ケアネットワークの広がり〜中間施設利用者の<重篤化>を踏まえて」をテーマにシンポジウムを開き、医療関係者、NPO関係者が意見を交わした。この中で、同会の佐久間裕章代表理事は、療養病床の削減の動きの中で、「社会的入院どころか、『社会的退院』が起こっている」と指摘。医療や介護を必要とする高齢低所得者を支えるには、「地域の連携が重要」と訴えた。


 紹介されたシンポジウムは、高齢低所得者の居住支援と地域ケアネットワークの広がり ー中間施設利用者の〈重篤化〉を踏まえてー


 行き場のない高齢者が病院のベッドを占拠する現象を「社会的入院」と言い、無駄な入院医療費の元凶と糾弾されてきた。一方、「社会的退院」という用語は、おそらく本シンポジウムが初出である。「社会的退院」には次のような特徴がある。

  • 医療機関の経営悪化に伴い、在院日数の短縮化、療養病床での医療区分1の割合縮小が迫られている。
  • 中でも、医療依存度が高い高齢低所得者が退院を迫られ、旅館やアパートで生活している。
  • 症状が重篤になっても入院できない。
  • 医療や介護を必要としつつも行き場のない高齢者がNPO法人の運営するホームなどに流れている。
  • 「社会的退院」を迫られた高齢低所得者や家族で支えることが困難な高齢低所得者の住居をきちんと確保することが重要であり、同時に、訪問看護ステーションや介護事業所、医師などとの連携を図っていくことが大切。


 「社会的入院」の最大の原因は、受け皿である住居や施設が公的責任で確保されなかったからである。医療機関も経営的問題を考えると、背に腹はかえられない事態となっている。リハビリテーションの目標として、「安全で円満な退院」が重要と言われているが、医療需要度が高い高齢患者が無理に地域に戻されている現状が浮かび上がる。