株式配当金非課税は誰のため

 麻生幹事長、茂木金融相の思惑はどこにあるのか。株式の配当金非課税に前向き 茂木金融相より。

株式の配当金非課税に前向き 茂木金融相
2008年8月10日19時17分


 茂木金融相は10日、株式投資への課税を軽くする証券優遇税制について、配当金の非課税といった拡充を検討する考えを示した。自民党麻生太郎幹事長が9日の講演で述べた、株式投資300万円までの配当金非課税の主張を受けたもので、金融庁税制改正要望に盛り込むことも検討する。


 茂木金融相はテレビ番組の出演後に記者団に対し、麻生幹事長が提案した配当金非課税について、「個人の金融資産は貯蓄に偏っていて、株式投資の割合は1割に満たない。貯蓄から投資へと流れをつくることが必要で、その意味から貴重な提案だ」と述べた。政府が週明けにも打ち出す総合経済対策には間に合わないとしながらも、「十分検討すべき課題」とした。


 現在の証券税制では、上場企業の株式配当金の合計額が年間100万円以下は10%の軽減税率(100万円超は20%)となっている。非課税が実現すれば、投資活性化や株価上昇につながるとの見方もあり、金融庁は今月下旬にまとめる来年度の税制改正要望に盛り込む方向で検討を始めた。茂木金融相は「景気の状況などを考えれば相当大胆な対策が必要」として、麻生幹事長らとも協力し非課税を実現させたい考えだ。


 ただ、いまの証券優遇税制は金持ち優遇といった批判もあり、「原則廃止の方向」だった。配当金の10%の軽減税率も、08年末で廃止されるはずだったが、2年間に限って延長された経緯がある。優遇税制の拡充は大幅な方針転換となり、財政負担に慎重な財務省も消極的とみられ、実現性は不透明だ。(多田敏男


 株を購入したことはない。貯蓄から株式投資へという声が政財界にあるようだが、そもそも政治家も企業も信用していない。「人生ゲーム」を遊んでいても、株を購入するといつも損をする。株購入=ギャンブルと感じてしまう。堅実な生き方の方が自分に似合っている。
 「上場企業の株式配当金の合計額が年間100万円以下は10%の軽減税率」が金持ち優遇だと言われているのなら、「株式投資300万円までの配当金非課税」という案は、それ以上の資産家優遇制度ではないのか。少なくとも、その日の生活に困っている貧困層に目を向けた提案でないことは間違いない。
 麻生幹事長は、政界でも有名な資産家である。庶民の心はわかりそうにない。政権支持率浮上を目指して福田首相が登用した麻生幹事長の目玉政策がこの程度では、高齢者など自民党から離れつつある層をつなぎとめることは難しい。